情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

写真は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長。10日撮影。REUTERS/Kevin Lamarque

[10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は9─10日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、3.50─3.75%とすると決定した。利下げは3会合連続。

パウエルFRB議長がFOMC後に行った会見の内容は以下の通り。

*雇用とインフレの見通しは前回会合から大きく変わっていない

*政策金利の効果的なコントロールを支援するため、短期国債を購入へ

*消費者支出は堅調、企業の設備投資は拡大

*住宅セクターは依然として弱い

*政府閉鎖の影響は、経済再開による次の四半期の高成長で相殺されるはず

*レイオフ、雇用は低水準にとどまる

*9月雇用市場では失業率がわずかに上昇し、雇用増加は大幅に鈍化した

*労働需要は明らかに弱まっている

*労働市場は活況を失いやや軟調、下振れリスクある

*インフレ率は依然としてやや高い

*10月のFOMC以降、インフレに関するデータはほとんど公表されていない

*インフレ率が上昇しているのは、モノのインフレが加速しているため

*サービス業のデフレーションは継続

*短期的なインフレリスクは上振れ、雇用リスクは下振れ

*リスクのない政策経路はない

*雇用の下振れリスクが高まり、リスクのバランスが変化

*過去3回のFOMCを経て更なる金利正常化が進むことで、労働市場の安定化とインフレ圧力の抑制につながるはずだ

質疑応答:

<金融政策・金利>

*きょうの決定は、労働市場の緩やかな冷え込みによるもの

*われわれは中立方向に向かっており、足元は中立レンジの上限にある

*現行の金利は中立金利の妥当な範囲内にある

*政策金利は中立の範囲内にある

*政策金利の調整を決定するのに有利な立場にある

*事前に決められた道筋はなく、会合ごとに判断する

*3会合連続での金利引き下げは、労働市場の安定化とインフレ抑制につながるはず

*これまでの利下げの効果は現れ始めたばかり

*労働市場を懸念する必要がなければ、利下げはしていなかっただろう

<雇用・労働市場>

*雇用とインフレの見通しは前回会合から大きく変わっていない

*雇用成長の推計をリアルタイムで行うのは難しく、体系的な過大評価が続いている

*給与ベースの雇用数に過剰計上が続いており、予測担当者は概ね理解している

*労働供給も急激に減少している

*雇用創出がマイナスになる状況を注意深く見守る必要がある

*政策で雇用創出を押し下げたくはない

*レイオフ、雇用は低水準にとどまる

*9月雇用市場では失業率がわずかに上昇し、雇用増加は大幅に鈍化

*労働需要は明らかに弱まっている

*労働市場は活況を失いやや軟調、下振れリスクあり

*労働市場が逼迫しインフレを押し上げる可能性は低いがゼロではない

*全員が労働市場は軟化しており、さらなるリスクがあることに同意

*インフレ抑制と労働市場の支援に全力で取り組んでいる

<インフレ・物価>

*インフレ率は依然としてやや高い

*インフレのリスクは非常に明確に見て取れる

*われわれの多くは、インフレ上昇は一時的だと予想しているが、そうでないリスクもある

*サービス業のデフレーションは継続

*サービスインフレの低下を示す証拠が増えている

*財(モノ)のインフレは完全に関税によるもの

*関税による価格上昇を除外すれば、インフレ率は2%台前半

*関税導入による価格上昇は一回限りになる可能性が高い

*新たな関税発表がなければ、モノのインフレは来年第1・四半期にピークに達する見込み

*今年は関税に関連しない分野のインフレに進展が見られた

*当局者全員がインフレ率が高すぎることに同意

<経済・住宅市場>

*消費者支出は堅調、企業の設備投資は拡大

*住宅セクターは依然として弱い

*住宅不足に対処するためのツールは、FRBのツールではない

*政策金利の0.25%ポイントの引き下げは、住宅価格に大きな影響を与えない可能性がある

*経済の過熱は感じられない

*来年の基本シナリオは成長の加速

*財政政策が支援材料となる

*消費者は支出を続けている

*われわれには並外れた経済がある

<AI・生産性>

*人工知能(AI)への支出は今後も続く

*AIの導入はまだ初期段階で、解雇にはまだ反映されていない

*AIによる生産性向上の見通しも見えている

*「生産性のポジティブなショックが見られるか」と問われ、「そうだ」と回答

*個人消費は底堅く推移しており、AIデータセンターへの支出が企業投資を支えている

<政策判断・コンセンサス>

*FRBの二大責務は若干対立している

*政策担当者の予測は不確実性を伴うものであり、計画や決定ではない

*政策決定者は全体像は同じように見ているが、リスクの捉え方は異なる

*政策決定者の両グループに賛否両論がある

*われわれは団結し、最終的な政策判断を下す

*きょうの決定について、かなり広範な支持を得た

<その他>

*任期終了後にFRB理事として残るかどうかについては、新しい情報はない

*クックFRB理事に関する最高裁判所の訴訟については言及しない

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