過去最高売上のディズニーの中で「一人負け」…舞浜駅前の商業施設が「一等地なのにいつもガラガラ」なワケ(プレジデントオンライン)

東京ディズニーリゾートの玄関口にある商業施設、イクスピアリ。ファッション雑貨や飲食店、映画館など約140の店舗が軒を連ねる。舞浜駅の目の前という一等地にありながら、館内を歩いてみると、人がほとんどいないエリアも少なくない。なぜ、これほどの好立地にもかかわらず「ガラガラ」に見えるのか。街歩きライターの杉浦圭さんがリポートする――。(前編/全2回) 【写真を見る】「一等地なのにいつもガラガラ」な商業施設 ■人はいるのに店は「ガラガラ」  平日の午前11時、JR舞浜駅の改札を出ると、平日とは思えない多くの人でにぎわっていた。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは近年、売上高・利益ともに過去最高水準を更新しており、その勢いは駅前の混雑ぶりからも十分にうかがえる。  その駅の目の前に位置するのが、商業施設「イクスピアリ」だ。2000年に開業した同施設は、約140のショップやレストラン、映画館を備え、ディズニーリゾートライン「リゾートゲートウェイ・ステーション」直結という好立地にある。  しかし近年、ネット上では「テナントの入れ替わりが激しい」「人が少ない」といった声も目立つ。実際に現地を観察してみると、舞浜駅からの人流はランド側とイクスピアリ側でほぼ半々に分かれていた。一見すると、イクスピアリも一定数の人に選ばれているように見える。  ところが、モノレール乗り場とイクスピアリへ向かう分岐点に差し掛かると様子が変わる。体感では約7割がモノレールへ流れ、イクスピアリへ向かうのは3割ほど。さらにゲートをくぐると、人の密度は明らかに落ち着いた。  これだけ舞浜全体がにぎわっているにもかかわらず、なぜイクスピアリは「ガラガラ」だと言われているのか。その理由を探るため、さらに施設の奥へと足を進めた。

■「すたすた通り過ぎる」人たちの多さ  そもそもイクスピアリとは、どのような施設なのか。  公式サイトによれば、その名称は「体験」を意味するExperienceと、ペルシア神話の妖精Periを組み合わせた造語で、「世界中どこにもない街」をテーマに掲げている。架空の歴史を持つ9つのゾーンで構成され、ゲストが物語の世界をそぞろ歩きしながら買い物や映画を楽しむことを想定した施設だ。  実際、地上4階建ての館内は、入口側の「タウンエリア」から奥の「シネマエリア」へと、ひと続きの「街」として構成されている。歩き始めてまず印象に残るのは、一般的なショッピングモールにはあまり見られない、華やかな内装やテーマ性の強さだ。街並みそのものが架空の物語を持ち、「ディズニーに来た」というワクワクした気持ちを自然と引き出してくれる。  一方で、入口付近のにぎわいを抜けて奥へ進むにつれ、館内の雰囲気は少しずつ落ち着いていく。ベンチでスマホを操作したり、休憩したりする人はいるが、店舗内は無人という光景も少なくない。週末は平日より人出こそ増えるが、「店に人が入っているか」という点では大きな差は感じられなかった。  とくに印象的だったのが、店にも商品にも目を向けず、施設内を一直線に通り抜けていく人々が一定数いることだ。彼らの後を追うと、その動線はアンバサダーホテルや駐車場、さらにはオリエンタルランド本社へと続いていた。  つまり、施設内で目にする人流のすべてが、消費を目的としたものではない。イクスピアリは、生活圏と職場を結ぶ「近道」としても機能しているのだ。  本来、滞在を前提に設計された街が、今は「通過するためのインフラ」として使われている。この消費を伴わない人流の存在こそが、イクスピアリに漂う独特の「ガラガラ感」を生んでいるのかもしれない。 ■イクスピアリが目指した「路地の楽しさ」  イクスピアリの大きな特徴は、緻密に作り込まれた「物語」を前提とした街の設計にある。たとえば2階シネマエリア入口の「シアター・フロント」は、1920年代の華やかなショービジネス街をイメージしてデザインされている。  しかし実際に歩いてみると、この精巧な構造が必ずしも「回遊」を生んでいないことに気づく。入り口から最も遠いシネマエリアに近づくほど、舞浜駅の喧騒が嘘のように静かになる。入り口から奥へ、下から上へと進むにつれて、人流の密度が急速に薄れていく様子がはっきりと分かるのだ。

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