〈FNS歌謡祭 第2夜〉「アルフィーがいちばんの趣味」 結成50周年のTHE ALFEEの鉄則は「3人でひとつ」

THE ALFEE(ジ・アルフィー)/ 1973年にグループを結成。翌74年「夏しぐれ」でデビュー。83年、デビュー9年目にして「メリーアン」が大ヒットし、以降、日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍しつづけている。コンサート通算本数は昨年末で2835本を数え、日本のバンドとしての最多記録を更新中。現在「THE ALFEE 2023 Spring Genesis of New World 風の時代」ツアー開催中。72枚目となるシングル「鋼の騎士Q / Never Say Die」発売中。(撮影/木村哲夫 ヘアメイク/野原ゆかり) この記事の写真をすべて見る

 年末恒例「FNS歌謡祭」(フジテレビ系・午後6時30分)が11日放送される。先週に続き、第2夜となる今回も夢のコラボレーション&話題の楽曲満載でお送りする。9年ぶりの出演となる香取慎吾や、先日結婚を発表した女優の高畑充希なども楽曲を披露。さらに今年デビュー50周年を迎えたTHE ALFEEも名を連ねる。まだまだ現役で活躍する彼らの過去の人気記事を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2022年10月5日に掲載されたものを再編集したものです。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

【THE ALFEEの写真をもっと見る】

*   *   *

 今年、結成50周年を迎えたTHE ALFEE。高見沢俊彦、坂崎幸之助、桜井賢の3人が大学で出会ったのは、1973年のことだ。以来、活動休止やメンバーチェンジもなく、絶え間なくシングルやアルバムを制作、コロナ禍においては配信を駆使し、常にライブを止めず敢行してきた。その公演回数はじつに2800回超。「現役を続けていることがいちばんの強み」「バンドは長く続けることに矜持がある」と語る彼らの50年は──。

――結成から50年。解散の危機はなかったのだろうか? 調べてみると「坂崎が蛇を飼ったら解散」という記事を発見した。

坂崎:それはネタなんですけどね(笑)。僕が蛇を飼ったら解散ということになっていますが、「アシナシトカゲ」ならいいかなと。

高見沢・桜井:(蛇と)一緒だよ!(笑)

坂崎:一緒じゃないんだよ! 蛇とトカゲなんだから。トカゲは尻尾が長くて蛇は尻尾が短いんだよ。

高見沢:蛇は全部が尻尾じゃないんだ?

坂崎:そう、ずーっと内臓があって、お尻があって、その先が尻尾なの。

高見沢:尻尾が短いんだ。

坂崎:蛇は餌をのみ込んで3日、4日かけて消化してる。

高見沢:トカゲはふつうの爬虫類だよな。

坂崎:だから食べたらすぐに便になる。

桜井:ふっ(笑)。まだ続くの?

坂崎:あと、まぶたがあるのがトカゲで、基本的に蛇にはない。だから蛇の風貌は怖く見えるんです。ということで「アシナシトカゲ」は許してもらえるかなと。

――坂崎は爬虫類や熱帯魚の飼育のほか、和ガラス、カメラなど多彩な趣味を持つことで知られるが、高見沢と桜井の趣味は?

高見沢:坂崎は器用だから多趣味だけど、俺と桜井はそんなに器用じゃないので、バンド以外に熱中できるものがなかった気がしますね。

桜井:コロナ禍で2年間もコンサートツアーができなかった時期も、趣味でもあったら有効に活用できた気がしますけどね。

高見沢:僕はコロナ禍だからこそ、楽曲の創作活動に励んでいました。アルフィーが趣味だっていうと、不思議に思われますが、僕にとってはいたって普通のことなんです。


Page 2

桜井賢さん(左)坂崎幸之助さん(中央)高見沢俊彦さん(右)[撮影/木村哲夫 ヘアメイク/野原ゆかり]

坂崎:でも、そういう意味では趣味性は高いよね。だいたい、仕事としてだけだったらギターは楽器として使うものだけでいいはずなのに、仕事で使わないものまで欲しくなっちゃう。これは間違いなく趣味の域ですよね。今、(高見沢はギターが)570本あって、そのうち趣味性のものが何百本とあるでしょ? きっと。よこしなさい!

高見沢:確かにレスポールは1本でいいんだよな。

坂崎:この間、スタジオにレスポールだけで10本くらい並べてたよな。だからそんなにいらないでしょ。桜井と坂崎に1本ずつよこしなさい!

桜井:俺はジミー・ペイジのサインが入ったやつがいいな。

坂崎:僕はね、ドン・フェルダーがいいな。その辺は半分以上趣味が入っているんですよ。僕は220~230本持っています。今は断捨離中で、かなり減らしたんだけど。

高見沢:ほんとに?

坂崎:使わないのもありますし、やっぱりいいもの、ちゃんとしたものは手に入れたいですよね。10年、20年持っているけど使ってないものは、今後も弾かないと思うので、そういうものは手放すようにしています。桜井は(ベースは)何本?

桜井:40本くらいだと思います。そのなかには王将、F1(車)などのいろんな変形ベースがあって。ちょっと将棋にハマったときに(メーカーに)「作りましょうよ」って言われて「じゃあ、任せる」ってお願いしたら、フレットのところに本当の将棋の駒が入っていて、けっこう、洒落ているんです。ステージでも使っています。

坂崎:洒落てるよね。

高見沢:音もいいよな。

桜井:1個だけ失敗したのは、ヘッドの部分が「歩兵」なんだけど、裏が「と金」になってなかった。

坂崎:(と金に)ならないの?

桜井:赤で「と」って書けばいいだけなんだけどね(笑)。実際にステージで使うのは、予備を含めて6本ですね。


Page 3

撮影/木村哲夫 ヘアメイク/野原ゆかり

――長年活動を続けてきたTHE ALFEE。この50年で変わったところは何もないのだろうか?

坂崎:僕ら自身はとくに変わってないと思います。

桜井:例えば僕らが会社員や経営者だったら、経験を積んで人間的に丸くなったりとかするんでしょうけど、学生時代からずっと3人一緒で、環境も変わっていないからね。

坂崎:そこだよね。お勤め行って家族ができて子供ができてってなると、学生時代のようにはいかないと思うけど、大学のときから環境が全く変わらないからね。ライブはだいぶ円熟してうまくなったかもしれないけど。

高見沢:ステージの緊張感と客席の声援の中で演奏することが、いちばんの練習になりますね。そのなかで2800本以上もやり続けているので、それぞれの技量は確実に進化している。長く続けるということはそういうことかなと思いますね。

桜井:演奏もそうだし、コーラスもそうだよな。いちばん気にしてるのは、やっぱり声がどう出せるかってことですね。声帯も筋肉だって言いますからね、若い頃と同じ歌い方をしていると、もう絶対歌えないですよ。だけど、そう思わせないのは、結局、現役を続けていることがいちばんの強みだと思いますけどね。

高見沢:アルフィーにはデビューから、いろんな試練がありました。それを乗り越えるためには、アルフィーの強みである3人がひとつのかたまりになる必要があって、それぞれが突出したミュージシャンではないので、今にして思えば3人でひとつっていうのが鉄則だったと思う。3人で音を奏で、個性の違う声が合わさることで個性的なTHE ALFEEサウンドが生まれた。そういう自信をつけるのに、50年という月日が必要だったのかもしれないですね。バンドは長く続けることに矜持があると思うので、それをいちばん身をもって証明しているのが、僕らかもしれないですね

――5月17日、通算72枚目のシングル「鋼の騎士 Q/Never Say Die」が発売された。4タイプあるジャケットの中で、桜井がセンターにいる通常盤がSNSなどで話題に。


Page 4

THE ALFEE
2024/12/11/ 18:30
週刊朝日編集部
撮影/木村哲夫 ヘアメイク/野原ゆかり

高見沢:話題に? それはそれで嬉しいですね。桜井が真ん中っていうのはシングル「冬将軍」(79年10月21日発売)以来ですから。

桜井:そうだよね。

高見沢:だから、なかなかインパクトあるかなとは思っています。

桜井:いつもの立ち位置と違うから、自分では見慣れないけどね。

高見沢:そして桜井だけが正面を向いている。

撮影/木村哲夫 ヘアメイク/野原ゆかり

坂崎:ミキちゃんが真ん中に来たみたいなね。

桜井:キャンディーズ!(笑)

高見沢:来年はデビュー50周年。これだけ長く続けられたのは、僕らの力だけでは無理だと思いますし、もちろん長年応援してくれたファンの方の情熱があってこそだと思っています。ほんとに感謝しかないですね。アルフィーを応援してくれるファンの方は、僕らの新曲を聴きたがってくれる。それが嬉しいですね。僕らが現役でやってこられた証しでもあります。

(取材・構成/谷口由記)

週刊朝日  2023年6月2日号

関連記事: