〈水曜日のダウンタウン きょう出演〉クロちゃんが連載最後だから明かす“真実”「父親の死はAERA dot.だけに話そうと決めていた」
30日放送「水曜日のダウンタウン」(TBS系・水曜よる10時)では、「クロちゃん、寝て起きたら川のほとりにいてその向こう岸に亡くなった父親がいたら、死の淵にいるかと思う説」を検証。過去にクロちゃんが語った亡き父とのエピソードを振り返る(この記事は「AERA dot.」に2024年5月30日に掲載されたものを再編集したものです。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。
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安田大サーカスのクロちゃんが、気になるトピックについて"真実"のみを語る連載「死ぬ前に話しておきたい恋の話」。今回のテーマは「最終回」。2019年からはじまった同連載も今回で最終回。毎回、さまざまなテーマに対し、ウソ偽りなく語ってきたクロちゃん。仕事についてだけでなく、プライベートなことを吐き出すのは、戸惑ったことが何度もあったという。特に、クロちゃんにとって大きな存在だった「父の死」について、話すべきかどうかとても悩んだという。4年半続いた連載について、今だからこそ明かせるクロちゃんの「本音」とは。
2019年11月にスタートした、この連載も今回で最終回を迎える。振り返ると、この4年半は、ボクにとって人生が変わるような濃い出来事がほんとたくさんあったように思う。
10年ぶりに彼女ができたし、念願だったアイドルグループやアイドルフェスのプロデュースもさせてもらった。初めてキー局での冠番組もはじまって、ボクの半生がドラマ化されたり、書籍の出版もあった。そのほか、15年ぶりの引っ越し、オシャレへの目覚め、抱かれたくない有名人ぶっちぎり1位、お風呂の湯を10日替えなくて批判、土の中に2度も埋められたりなど、ざっとあげただけでもこんなにある。そういえばコロナ禍では、コロナにも感染し、生死の世界をさまよった。この連載でも、コロナの恐ろしさ、つらさについて伝えた。あの時は、みんなからたくさんのやさしいコメントが寄せられてありがたかったしん。
ぶっちゃけると、初めてこの連載の依頼が来た時、ボクは「AERA dot.」というニュースサイトも「AERA」という雑誌も知らなかった。だから、マネージャーから、この連載について聞かされた時は「ア、エ、ラ…? なにそれ?」みたいな反応だったと思う(笑)。よくよく聞いてみると、ボクのキャラクターのカラーとはまったく異なるメディアだったから依頼がきたのはすごく不思議だったね。
芸人仲間や友達から「最近はどんな仕事をやっているの?」と聞かれるたびに、「今はAERA dot.で連載している」と答えると100%の確率でウケた(笑)。きっと、ギャップがすごいんだろうね。「AERAってあのAERA!? なんで? 全然クロちゃんに合ってない」などと言われることもけっこうあった。だから、もう途中からはボクも開き直って、連載を「100%ウケる鉄板ギャグ」のように会話で使っていた。つまり、「AERA dot.」や「AERA」は、ボクにとっては大切なギャグの一つだった(笑)。
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連載タイトルは「死ぬ前に話しておきたい恋の話」。覚えている人はもう少ないかもしれないけど、この連載、開始当初は「恋の話」限定だった。それが、いつのまにか「テーマは何でもあり」の連載へと変わった。ある日、突然、連載の担当者から「『恋の話』しばりはもうやめましょうか」と告げられ、いきなりの方針転換。おそらく「恋の話」ではあまり読まれなかったのかもしれない(笑)。少し戸惑いはしたけど、それが功を奏したのか、それ以降は、ありがたいことに何度かヤフートップにもあげてもらえたし、結果的にはよかったなとは思っている。
自分の思いをこういう連載というかたちで定期的に世の中に発信するのは初めての経験だったけど、意外と「おもしろい」と感じた瞬間も多かった。ボクは、常日頃SNSなどで自分が感じたことをつぶやいてはいるけど、その感覚とは全然違うんだよね。SNSは瞬間的に感じたことをつぶやくけど、連載は「じっくり考える」ことが基本だった。
また連載が始まるまでは、あるテーマに対して「じっくりと定期的に考える」ことってボクの場合は意外と少なかった。仮に、バラエティー番組などでそういう場面があったとしても、やっぱり芸人という仕事上、少しふざけちゃったり、オチをつけようとしちゃったりすることが多くなるからね。それが芸人の役割だとも思っているし。でも、この連載では、そんな芸人という肩書をあまり意識せずに、いろんなテーマに向き合うことができた。
ただ、「芸人がこんなパーソナルな部分を発信して良いのだろうか」と葛藤したことも実は何度もある。担当者からお願いされたテーマもあるんだけど、正直、「答えにくいな」と戸惑ったことだって少なくない。
しかし、そういう答えにくいテーマに、いざ真剣に向き合ってみると、自分の中で新たな引き出しが生まれ、おもしろい発想につながったり、改めて自分の指標みたいなことを再確認できたりもして、芸人としても一人の人間としても、結果的には成長できたんじゃないかと今では感じている。
連載を読んでくれた人たちの反応からも「真面目な意見をいうボクを受けていれてくれる人がこんなにたくさんいるんだ」ということも初めて気付けた。変な話ではあるけど、ボクという特殊なキャラクターでも「真面目なことを発信しても良い」ということを学べたのは、とても大きかった。
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そして、ボクがこの連載を通して感じた最も大きなメリットは、自分の周囲で起きた大きな出来事に対して、ある程度の「区切りがつけられる」ということだ。
それを最も感じたのが「父親の死」だった。昨年、大好きだった父親が亡くなった時、ボクはつらすぎて、しばらくの間、気持ちがズンと沈んでいた。妹から電話を受けた瞬間の衝撃は、今でも忘れられない。
「父親の死」という自分の人生の中での大きな変化について一体どう発信をするべきなのか、当時のボクはかなり迷っていた。SNSなどの短い文章でつづるのも違う気もしたし、テレビやYouTubeなどで気軽に話すテーマでもない。それに中途半端にそのことに触れてしまうと、追加で取材依頼がきてしまったり、ネットニュースなどでボクの意図とは違う形で切り取られる可能性もゼロではなかった。それは絶対に避けたかった。
そんな時、「父親の死」のことを発信するのは、この連載だけにしよう、そう決めた。追加の取材依頼などがこないように、ボクの気持ちを余すことなく、すべて伝えればいいんだってね。ただ、その時はまだ気持ちは沈んだままだったから、連載の内容について担当者と話すたびに、終始涙がとまらなかったことを覚えているよ。
数日後、「父親の死」についての連載は公開された。ありがたいことに公開直後から、多くの人の目に届き、共感するコメントをたくさんの方からいただいた。広島にいる母親からも「連載を読んだよ。ありがとう」と電話があった。なんだかボクは、うれしくてまた泣きそうになった。
そんな周囲の反響を体感するうちに、ボクの沈んだ気持ちはだんだんと落ち着いてきた。この連載のおかげで、ボクは「父親の死」をしっかり受け止めることができたんだ。そのことを振り返ると、改めて連載を担当することができてよかったと心から思う。
ボクの連載を一度でも読んでくれた人たちや関係者の方たちには、もう感謝しかない。ボク自身も、たくさんの勇気をもらえました。また機会があれば、連載にはチャレンジしてみたいなー。ほんとに、今までありがとうございました! これからもボクの活動に、期待しててほしいしん!
(構成/AERA dot.編集部・岡本直也)
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