桜蔭のとなりでタワマン建設計画 「女子御三家」に迫る再開発の波

令和のリアル 中学受験

毎日新聞 2025/4/1 15:00(最終更新 4/1 15:08) 有料記事 3437文字
中学受験の「女子御三家」として知られる桜蔭学園=東京都文京区で2024年12月9日午前10時52分、平塚雄太撮影

 中学受験で最難関とされる「女子御三家」の桜蔭中学校・高等学校(東京都文京区)。 その隣接地にタワーマンションの建築計画が持ち上がっている。

 学校法人は「教育環境が脅かされる」と訴訟に踏み切った。同じく「御三家」の他校も再開発の波にさらされている。

 なぜ都心の教育現場は難しい対応を迫られているのか。【平塚雄太】

  <主な内容> ・桜蔭「教育環境が脅かされる」 ・「青天のへきれきだった」

 ・「教育環境の維持」求める女子学院

桜蔭「教育環境が脅かされる」

 保護者や関係者が詰めかけ、傍聴席は満席だった。

 「約1400人の生徒の教育環境が脅かされる。女子校でもあり、のぞき見、盗撮の懸念、プライバシーの侵害も甚だ不安です」

 2024年11月20日、桜蔭中学・高校を運営する桜蔭学園の斉藤由紀子理事長は東京地裁で述べた。中高一貫の桜蔭は東京大に例年50~80人台の合格者を出す全国屈指の進学校だ。

 そんな名門が、隣接するマンションの建て替えを都が許可しないように求めて訴訟を起こしたのは24年8月。この日は第1回口頭弁論だった。

 訴状によると、発端は22年7月、桜蔭の本館校舎(地下2階地上6階建て)に隣接するマンションの管理組合が、建て替えのための許可を都に申請した。教室の窓から約11メートル先の距離に、20階建てで高さ約69メートル、塔屋も入れると76メートルのマンションが建つ内容だった。

 桜蔭側によると、現状のマンションは8階建てで校舎とは最も高い部分で20メートル以上離れている。そして、傾斜地で校舎の方が高い位置にあり、日当たりは確保されている。

 だが、建て替えとなれば校舎の最上階の目前にマンションの11階の部屋が現れ、さらに9階分の高い建物が校舎をふさぐようになるという。「教室に一年中、一日中、日が差さなくなる」と主張する。

「青天のへきれきだった」

 斉藤理事長は法廷で「(建て替え計画は)青天のへきれきだった」と意見陳述した。

 1977年のマンション建設時に、当時の建築主体と桜蔭…

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