下関インターハイ 男子学校対抗決勝 野田学園が悲願の初優勝

[国内大会]

 高校生たちの祭典、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の卓球競技が7月31~8月4日に山口県下関市のJ:COMアリーナ下関(下関市総合体育館)で開催される。  競技4日目の本日8月3日は男子学校対抗決勝が行われ、野田学園(山口)が初優勝を果たした。

【優勝】野田学園(山口)

野田学園が地元山口で悲願の初優勝を達成 トップを務めた島田がチームを勢いづけた 野田学園を率いて17年、橋津監督がパワーを授ける 1年生エース岩井田駿斗があらん限りの気迫で奮闘 地元山口の大応援団がエースの活躍を後押し エース対決の激闘を制し、ベンチに指さしポーズで応える 勝負所の4番、ここでも1年生の中野が力を発揮した 悲願達成!ついに野田学園がインターハイの頂点に!

【2位】育英(兵庫)

チームの快進撃を支えた谷本は、エース対決で無念の惜敗 育英の勝利を信じた応援団。人数は及ばないが、気迫では負けず劣らず 谷本/西面が全日本ダブルス2位の岩井田/中野に一矢報いた

▼男子学校対抗決勝の結果 野田学園(山口) 3-1 育英(兵庫) ○島田 7,-10,8,4 三木 ○岩井田 6,-6,9,-9,3 谷本  岩井田/中野 -10,-7,-8 谷本/西面○ ○中野 -8,6,5,-9,5 西面  木村 ‐ 松島  男子学校対抗決勝は、ともに初優勝を狙う育英(兵庫)と野田学園(山口)が対戦。昨日の準決勝で愛工大名電(愛知)の9連覇を阻止した育英と、地元山口の大歓声を背に初制覇を目指す野田学園の試合は白熱のゲームとなった。  育英は3年生の三木、エース谷本、2年生の西面、ルーキーの松島という布陣。一方の野田学園は1番から4番までを島田、岩井田、中野の1年生で固め、ラストを3年生の木村に任せた。  1番は育英・三木と野田学園・島田がバックサイドで鋭い攻防を展開して1ゲームずつを取り合うが、第3ゲームに入ると島田が左右の動きがさえ始めて点差を広げ、一気にスパートして貴重な先制点を挙げた。  2番、昨日の愛工大名電戦で2点取りした育英の谷本と1年生ながら野田学園の主軸を務める岩井田の対戦は一進一退の攻防となった。第1ゲームは岩井田が速攻を決めて11-6で取ると、第2ゲームは谷本が両ハンドドライブを決めて6-11でが取り返す。第3ゲームは岩井田が11-9で競り勝つが、第4ゲームは谷本が中盤に逆転して9-11で奪い返してゲームオールに。このままもつれ合うかと思われたが、最終ゲームは立ち上がりから岩井田が一気にスパートをかけてエース対決を制し、野田学園が早くも栄冠に王手をかけた。  このまま優勝をさらわれるわけには行かない育英は、決勝進出の立役者と言える谷本/西面が登場。一方の野田学園は全日本ダブルス2位の岩井田/中野で決めにかかる。試合は第1ゲームの競り合いがヤマだった。お互いの展開を探りながらもつれてジュースとなるが、谷本と西面がそれぞれチキータを放って育英ペアが1ゲームを先行。すると第2ゲームも中盤まで競り合う中で岩井田/中野の攻めにミスが出て育英ペアがこのゲームも連取した。第3ゲームも終盤まで打ち合いながらの展開となるが、最後は谷本/西面がラリー戦をものにして鮮やかなストレート勝ちで星を一つ戻した。  後半にいい流れでつないだ育英は近畿王者の西面に望みを託す。ここで決めたい野田学園はシングルスで8強入りを決めている中野。立ち上がりは西面がサービスと台上プレーで先手を取って先行するが、中野がバックに集めずフォアサイドを意識させてからの展開で2ゲームを連取して一気に王手をかけた。このまま押し切りたい中野だが、第4ゲームは勝利を意識したのかプレーに硬さが見られて西面のファイトに押し込まれ、ゲームオールにもつれ込んだ。最終ゲームは勢いに乗じて西面がライジングで攻めるが、もはや技術ではないとばかり、中野が動き回って中陣から盛り返してリードを広げる。このまま中野が西面の攻撃を粘りきって11-5で勝利。  この瞬間を待ちわびた野田学園、2008年に橋津文彦監督が就任してから17年という長い月日を経て、悲願の高校日本一に上り詰めた。男子学校対抗の山口県勢の優勝は昭和31年(1956年)の第25回大会、橋津文彦監督の母校である柳井商工(※橋津監督の在校時は柳井商業)が果たして以来、実に69年ぶりの快挙となった。

■野田学園・橋津文彦監督 優勝インタビュー

(初優勝の感想を聞かれ)お待たせしました!決勝に何回行ったか、数えたくもないし、特に今年は地元なので色んな人から言われますから、注目されているのも分かっていたので、正直プレッシャーもありました。でも、今日のこの大応援団が背中を後押ししてくれて、萎縮することなく力を発揮することができました。 (山口県勢は1956年の柳井商工以来の優勝と聞かれ)私の母校である柳井商業/柳井商工も廃校になるのがわかっていて、野田学園がいることで代表になれないことは感じる部分もあり、今回柳井商工が出場してくれたことはとてもうれしかったです。それと、後輩の松永先生が他界したこともあり、いろいろと思うことがありました。  決勝は2台進行の予定が1台進行に変わって、オーダーが難しくなりましたが、トップに島田を出すと決めていたいので、そのまま2番も岩井田を当てに来ました。谷本選手には負けたことはなかったので自信を持って送り出しましたが、展開が違う形になったので・・・。最後の最後、エンジンをかければ何とかなると信じていました。  ダブルスの岩井田と中野は別の遠征などが重なったりして、なかなか二人が同時にいることがなく、チームの軸が誤算になり、不安材料になりました。  中野は立ち上がりは守備的な展開になったので、攻撃的な試合をして流れを変えよう、チームにも流れをつかむためのベンチワークや声掛けをしようと話しました。最後は中野がすごい集中力で頑張ってくれました。

(野田学園で初優勝して)実は試合前のミーティングで、これまで支えてくれた3年生を起用することができないことで申し訳なく、泣いてしまいました。そんなこともあり、渡邉や岡本、上で応援してくれるメンバーもみんな声をからして応援してくれて、感謝しかありません。インターハイの団体はもう優勝できないのかな、と思ったこともありましたし、これで一つのミッションをコンプリートしたかなという部分と、常日頃からむちゃくちゃなことをする私を支えてくれる妻に感謝しかありません。

卓レポXで下関インターハイの熱戦を速報中。ぜひご覧ください! 詳しい記録は下記大会公式ページの競技記録結果(外部サイト)まで

https://kirokukensaku.net/0IH25/discipline_060_20250803.html

(取材=卓球レポート)

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