市場の想定外、最高値更新した欧州株-関税脅威で先行きには慎重論
欧州の株式相場が急ピッチで上昇し、今週に入って最高値を更新した。多くのストラテジストにとって想定外のことだが、この先の上昇については懐疑的な見方も多い。
欧州株の指標であるストックス欧州600指数は年初から9%ほど上昇。550ポイントを上回り、18日には終値ベースの最高値を付けた。ブルームバーグがストラテジストを対象に実施した最新調査では、今年末の予想が平均で540ポイントとなっており、それを超えた。
相場上昇の背景には、米国に保有する資産の分散やウクライナ停戦に対する期待がある。
シティグループのストラテジスト、ベアータ・マンシー氏は「欧州株は今年、好調なスタートを切った」と指摘。「当社はストックス600指数に関して強気な見方をしていると思っていたが、あと3%上昇すれば、その数値に達してしまう。欧州市場にはこの先も相場を上昇させる材料が出てくる可能性があるが、関税関連のニュースがボラティリティーを再び高め得る」と述べた。
前月実施したブルームバーグ調査では、ストックス欧州600指数の年末予想平均は534だった。今月はそれより上昇したものの、回答したストラテジストの3分の2近くは今後は下落するとみていることが示唆された。
最も楽観的な見通しを示しているのはドイツ銀行で590。現行水準から7%程度の上昇を見込んでいることになる。一方、TFSデリバティブズは回答者の中で最も低い490への下落を予想している。
米S&P500種株価指数の年初来上昇率は3%ほどにとどまっており、欧州株が大きくアウトパフォームしている。
マクロ面を見れば、金利が低下しており、景気は回復が見込まれる。23日のドイツ総選挙は財政刺激策への期待を高めている。ウクライナ停戦を巡る協議も市場のムード押し上げに寄与している。
第4四半期の決算発表シーズンも、これまでのところ予想を上回る業績が目立つ。ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、企業利益は決算発表シーズン前は前年比1.3%減の予想だったが、1%増となった。
ただ、欧州株上昇の勢いがあまりに強く、投資対象のローテーションが顕著なことから、バークレイズのエマニュエル・コー氏ら一部のストラテジストは、欧州株は今後フェアバリューに戻るとの見方を示している。
米国の関税が欧州の輸出を抑制するリスクや、貿易戦争が世界経済に及ぼす間接的影響も懸念される。
コー氏は「欧州で平均を上回るバリュエーションを達成するには、2つのことが必要だ。経済活動に関するデータの改善継続と金利低下だ」と指摘した。
原題:Booming European Stock Market Leaves Strategists in the Dust(抜粋)