日本vsオーストラリア 試合前日の森保一監督、MF遠藤航会見要旨
5日の北中米W杯アジア最終予選第9戦でオーストラリア代表と対戦する日本代表が4日、敵地パースのオプタス・スタジアムで公式会見を行った。森保一監督とMF遠藤航(リバプール)が出席した。 以下、森保一監督、遠藤航の会見要旨
―(森保監督へ)すでにW杯出場権が決まっているなか、招集メンバーも大幅に変えたが、どういったことにトライしたいか。
森保監督「まず明日のオーストラリアとの試合だが、オーストラリアは(トニー・)ポポビッチ監督のもと、非常に良いチームになっていると思うし、力も上がってきている。アウェーでの戦いでもあるので、覚悟して戦いに挑みたい。これまでの考えの通り、一戦一戦勝利を目指して戦うことは明日の試合も変わりないという思いがある。すでにW杯の出場権を獲得しているなか、未来に向けても選手層を厚くしていきたい。チーム力を上げていくためにこれまで招集していなかった選手、また招集はあったが再招集している選手もいるなか、日本にはこれだけまだまだいい選手がいるんだということを見てくださっている方々、応援してくださっている方々に見せたい。選手たちには個々の輝きをより見せてもらえるように、そこからチーム力が上がっていくような試合ができればと思っている」―(遠藤へ)新しいメンバーが入っているなか、主力選手とどのように融合させていきたいか
遠藤「まずは新しく入った選手の特徴をそれぞれが理解しないといけない。そんなに準備期間がない中でも、ピッチ上ではそれぞれ特徴を出して、いい練習ができていると思っている。新しくチャンスをもらった選手たちはとにかく自分の良さを存分に発揮するのが今回の最大のテーマになっていくと思う。もちろん相手の出方にもよるが、僕のように経験ある選手がどううまくチームとして機能させるか、この代表チームとしてどう勝利に持って行くかをしっかり考えながらやっていきたい」―(森保監督へ)代表歴の浅い選手がいるが、彼らがチームに馴染みやすいようにどんな工夫をしたか。もし工夫をしていなければその理由を教えてもらえれば。
森保監督「今回のチーム編成をしているなか、普段通りやっていることのほうが多いと思っている。なぜかというと、誰がチームに加わっても、まずはチームの戦術を共有してもらえるように、コーチ陣が中心となってミーティングやトレーニングをして、全体的に伝えること、かつ初招集であっても、経験が豊富であっても、その時々の招集の中でチームの戦い方、戦術の部分と個々の役割については、できるだけ選手個々が自分の役割を把握して、思い切ってプレーできるようにというのは普段からやっているので特別なことはやっていない。ただチームや組織は個々から成り立っているので、個々のアプローチにしっかりとフォーカスして、チームとして機能できるようにということはさらに個人を見ながらやっている。そういう意味では今回は違ったアプローチもしていると思う」―(遠藤へ)ここまで代表歴の浅い選手が入るのは森保ジャパンの初陣以来だと思うが、勝ち残ってきた一人としてなぜ勝ち残ってきたのか自己分析をしてほしい。
遠藤「振り返って一番思うのは着実にステップアップをしてきたところ。ロシアW杯が終わってから海外に行って、そこからベルギー、ドイツ、今はイギリス、所属クラブで高いパフォーマンスを発揮しながらここまで来られた。それが選手としていまここにいられている最大の理由なのかなと思う。もし国内に居続けているといまの自分はないと思う。ただ、いまの国内組の選手たちは、海外の選手たちが代表に入っているというところで、もしかしたら国内で試合に出ていてもなかなか代表に入れる機会がないと思っている選手たちもいるかもしれない。でも僕が海外に行ったのはだいぶ遅かったが、いまここにキャプテンとしていられているのは、自分の道をしっかり作ってきたから、ここまで来られたのがあると思う。いまは状況は少し違うし、若いうちから海外に行きたい思いを持った選手がいっぱいいるし、もちろん失敗もすれば、成功している選手たちもいるというなかで、これから海外に行きたい、代表に入り続けたいという思いを持った若い選手に言いたいのは、選手それぞれの道があって代表の立場があるということ。もちろん早く海外に行って、そのまま活躍して代表に入れる選手もいれば、国内で長い期間活躍をして、活躍をして、海外に行って代表にようやく入れるという選手もいる。自分の選手として置かれている状況、周りの選手たちの環境がどうなのか、どこでプレーしているのかというのを相対的に考えながら、自分が生き残る道を、若い選手たちには自ら進んで作っていってほしいと思っている」―(現地記者から森保監督へ)日本との対戦への質問に彼らはベストなメンバーではないと答えていて、地元ジャーナリストもテストの試合になると見立てている。7人の初招集選手を積極的に起用する予定があるか。
森保監督「これまでの最終予選のメンバーからするとおっしゃる通り、コアメンバーは招集していないところがあり、ベストメンバーでないと思われるかもしれないが、私自身は経験の浅い選手、初招集7人であったり、3月から14人の選手を入れ替えているなか、先ほどもお話ししたが、日本にはまだまだこれだけいい選手がいるということを見せたい。競争の中で勝ち抜いてこれまで選んできた選手がいるが、それと同等、経験すればその域に達する選手がまだまだたくさんいる。明日の試合ではそういう選手を見ていただければと思う。相手も強いので試合内容はわからないが、明日起用する選手たちは日本代表での生き残りのために、自分がより成長するために、より強い気持ちを持って、パワーを持って、試合を戦ってくれると思う。これまでよりも大きなエネルギーとパワーで相手に立ち向かっていけると思っている。メンバーについては最終的には決めていないが、すでに14人の選手を変えているので、必然的にフレッシュな選手が多くスタートから出ることになると思う」―(現地記者から遠藤へ)オーストラリアにはリバプールのファンも大勢いるが、個人としての意気込みを教えてほしい。
遠藤「代表選手としてアウェーの地に来ても、リバプールファンの方々がいてくれるのを嬉しく思う。ただ試合に関して言えば、おそらくリバプールファンだけどオーストラリア代表を応援する方たちが多いと予想している。ただその中でも個人的にはいつも通りの高いパフォーマンスを皆さんにお見せできるように頑張りたい」―(現地記者から遠藤へ)オーストラリアとの対戦をどう捉えているか。
遠藤「長い間、ライバル関係にあって、いつもタフな戦いを強いられているというところで、キワで勝ったり、引き分けに持っていっているイメージがある。お互い切磋琢磨しながらこうして最終予選を戦えているのは嬉しく思うし、明日の試合も間違いなくタフな試合になると思う。代表チームとして勝利を目指しつつ、メンバーが変わっても代表チームが強いということを示せるようにやっていきたい」―(現地記者から森保監督へ)代表監督として活動に充てられる時間が限られているが、すでにW杯出場を決めて他国よりも時間があるなか、どういった時間の使い方をしていきたいか
森保監督「目標はW杯優勝を目標にしている。目標ありきで考えるのではなく、一戦一戦、一回一回の活動を積み上げた上で力を上げていき、最後に夢、目標を掴み取るということを考えている。これからの時間の使い方も含めて、最高、最強のチームを作るために今回の活動も含めてチームで活動したいと思っている。具体的にも今回の選手を大幅に入れ替えているところで、選手層の幅を広げる、厚くするという強化をしながら、選手には申し訳ないが、より多くの選手、いい選手の中から最強のメンバーを選んでいくということをW杯に向けてやっていければと思っている。同時に選手もそうだが、選手が力を発揮するため、すでにW杯出場権を決めているなか、ドローは終わっていないが、どういったグループに入ったらどういう環境で、拠点を置いたらいいのか、移動等々も含めていろんなことを考えながらチームのベストのパフォーマンスができるように準備をしている」―(現地記者から森保監督へ)初招集の選手が代表に定着するためにはどういったことが必要になるか。海外に行くことか、Jリーグでいいプレーすることか。
森保監督「基本的にはこれまでの選手選考で見ていただければわかると思うが、ヨーロッパの5大リーグでプレーしていたり、チャンピオンズリーグなどヨーロッパの戦い等々、よりレベルの高いチームでプレーをすることが基本的には代表に選ばれる可能性を高くすると思っている。しかしながらその基本とは別のところでは、日本のサッカーのレベル、国内のレベルが上がっているし、Jリーグの選手も招集はこれまでもしてきている。Jリーグのレベルが上がっているのも、まずは横にいる遠藤選手のように世界にチャレンジする選手たちがいい影響をもたらしてくれていることでJリーグ、日本国内全体のレベルが上がっていると言える。日本代表が、日本サッカーが世界で勝っていくために、指導者養成も含めて育成からサッカーに関わるすべての方々が地道に努力をしてくれているおかげで日本サッカーが確実にレベルアップしていると思っている。明らかに数字の部分で得点を挙げることであったり、個々のパフォーマンスでデータ的に代表に選ぶべきだと思ったら、これからも国内の選手も選んでいきたい。ただ選手たちにはチャンピオンズリーグで優勝できるようなチームを目標に成長してほしいというのは話している」―(現地記者から遠藤へ)来季の去就について新たな情報はあるか。
「(英語で)今のところ情報はない。クラブからは何も伝えられていないし、自分の考えは何も変わっていない。ただ状況が急に変わることもあるので、そこは見てみましょう」 (取材・文 竹内達也)●北中米W杯アジア最終予選特集▶日本代表の最新情報はポッドキャストでも配信中