小林虎之介は若手俳優界の筆頭 『下剋上球児』から朝ドラへの躍進をドラマライターが解説

 見上愛と上坂樹里がW主演を務める2026年度前期放送のNHK連続テレビ小説『風、薫る』。8月8日には第3弾キャストとして14名の出演が新たに発表された。その中でも特に注目されている1人が小林虎之介だ。

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 小林は、日曜劇場『下剋上球児』(2023年/TBS系)で注目を集めると、『ひだまりが聴こえる』(2024年/テレビ東京)やNHKドラマ『宙わたる教室』(2024年)などで高い評価を得てきた。ドラマウォッチャーの明日菜子は小林の躍進について次のように語る。

「小林さんの朝ドラ出演はいつかくるだろうと思っていましたが、想像以上に早い出演で驚きました。主人公・りん(見上愛)の幼なじみという重要な役で、すごい抜擢ですね。最近は若手俳優の躍進が止まらないなか、小林さんはその筆頭だと感じています。若者特有の真っすぐで不器用な感じ、焦りや不安に駆られた役を演じると右に出る人はいないですね。正直、小林さんが担うような役は、同世代の俳優さんの多くが演じてみたいのではないかと思うのですが、すでにご自身のキャラクターがしっかりと確立されていて、『この役は小林虎之介しかいない』と思わせる強さがあります」

 小林が初めて連続ドラマへのレギュラー出演を果たしたのは『下剋上球児』でのこと。当時の小林の活躍をリアルタイムで追っていた視聴者にはどのように映っていたのか。明日菜子はこう続ける。

「『下剋上球児』に出演されていたころから目を引くなと思っていました。小林さんは菅生新樹さん演じる日置誠の弟役で、途中から野球部に入ってくるんですよ。オレンジ髪の不良だった壮磨が、坊主頭になって兄の無念を晴らすためにふたたび野球をすると決意したシーンは泣けました。ですが当時、小林さんも、同じく本作で注目された中沢元紀さんも、まだWikipediaがない状態でした。『下剋上球児』はだいたいデビュー3年目、2023年10月期の作品なので、そこから2年も経たないうちに朝ドラに抜擢されたのはものすごいスピードです。中沢さんとは『ひだまりが聴こえる』(テレビ東京系)でW主演を飾りました。中沢さんはそこからNHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025年度前期)での活躍があったので、運命を感じる役者さんですね」

 そして小林の実力を決定づけたのが『宙わたる教室』。本作での小林の魅力について、明日菜子はこう語る。

「すごく“正直な俳優さん”だと感じます。気持ちが乗れば乗るほどゾーンに入っていく様子がお芝居からも見て取れるんです。それが『下剋上球児』と『宙わたる教室』で爆発したなと。『宙わたる教室』には主演の窪田正孝さんをはじめ本当に素晴らしい俳優の方々が揃っていたんですが、その錚々たるキャストの中でも“これは小林虎之介のドラマだな”と思わされる瞬間が何度もありました。役を通してのエネルギーが凄まじくて、それこそ時代が違ったら『ROOKIES ルーキーズ』(2008年/TBS系)や『ごくせん』にも出演されていたのではないでしょうか。『宙わたる教室』の柳田岳人も金髪の典型的な不良なんですが、そんな彼が科学を通じて、「学ぶことの楽しさ」に出会うシーンはグッときました。しかもそれが限りなく自然体で、実際にいそうだなと思わせる生っぽさがある。役と感情がぴたりとハマった時の爆発力は圧倒的です。代表作になった『宙わたる教室』と同じく、NHKが手がける朝ドラでも、また忘れがたい役になるのではないかと楽しみにしています」

 加えて、小林の直近の出演作である『恋は闇』(2025年/日本テレビ系)への出演がさらなる期待に繋がるという。

「小林さんの役は、『真っ直ぐであれば真っ直ぐなほどいい!』と常日頃から思っているんですが、『恋は闇』のキノピー(木下晴道)は、飄々として空気が読めない人で、いわゆるZ世代の感覚を反映した主人公の部下として登場しました。手に取るように感情がわかる今までのキャラクターとは真逆で、掴みどころのない役でしたが、力の抜き加減が絶妙でハマっていましたね。正直イメージとは違う役柄でしたが、役の幅が広がったなと感じる作品でした」

 いまだ出演作品数は限られているなか、そのほとんどの作品で高い評価を得ている小林虎之介。次の代表作になるに違いない『風、薫る』での活躍が楽しみだ。

■放送情報 2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』 NHK総合にて、2026年春~放送 出演:見上愛、上坂樹里、水野美紀、早坂美海、小林隆、小林虎之介、つぶやきシロー、岩瀬顕子、三浦貴大、根岸季衣、大島美幸、義達祐未、たくや(ザ・たっち)、かずや(ザ・たっち)、原田泰造、北村一輝 作:吉澤智子 原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』 制作統括:松園武大 プロデューサー:川口俊介 演出:佐々木善春、橋本万葉ほか

写真提供=NHK

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