外国人問題「困っている国民の声聞いて」 治安「抑止力を」 有権者、衆院選に論戦期待

衆院選が公示され、JR秋葉原駅前で街頭演説を聞く有権者ら=1月27日午前、東京都千代田区(鴨川一也撮影)

衆院選が27日公示され、2月8日の投開票に向けて各地で立候補者たちの論戦がスタートした。物価高・消費減税、外国人問題、治安、防災…。日本を取り巻く課題が山積するなか、有権者はどのような審判を下すのか、異例の超短期決戦の行方が注目される。

止まらぬ物価高 家計直撃

ほとんどの政党が消費税撤廃や引き下げを訴える。物価高による生活の不安を払拭できるかが焦点となりそうだ。

「昼食は500円くらいで済ませていたが、700円かかるようになった」。通勤でJR新橋駅を利用する会社員の40代男性=千葉市=は昼食を減らすなど節約に努めるようになった。「今の政権になってから、何を言っても変わらないという感覚は薄れた。今回の衆院選にも期待している」

総務省によると、「物価の優等生」である鶏卵は昨年12月、東京都区部で1パック(10個)あたり316円に。前年同月から37円値上がりした。

東京都杉並区の主婦(52)は中学生から大学生までの子供4人を育てるが、弁当のおにぎりに巻いていたのりをやめ、ふりかけにした。求めるのは減税よりも手取りの増加。「子供が食べ盛りなので、所得制限の壁をもっと引き上げてくれると助かる」と話す。

渋谷区の男性会社員(74)は「消費税を下げても、日本の経済が活性化しないと何も意味がないと思う」と抜本的な対応を求めた。

増える外国人 軋轢じわり

外国人の在留者や訪日客は増加を続け、昨年に過去最多を更新した。人気観光地の東京・浅草では27日、外国人の姿が目立つ市街地を選挙カーが駆け抜けた。スーパーで買い物をしていた70代女性は「外国人が増えるのは良いこと。自治体として豊かになれば生活もよくなるのでは」と話す。

一方、雷門近くで靴店を営む男性(84)は、外国人増加で街の雰囲気はがらりと変わったとして「恩恵がほとんどない。昔からの固定客も足を延ばしにくい場所になり、潰れる店も多い。(観光振興ばかりではなく)地域に還元される政策が必要だ」と話す。

埼玉県川口市では、トルコの少数民族クルド人の一部と地域住民との間で軋轢(あつれき)が表面化し、不安を感じる有権者もいる。30代の主婦は「公園で子供を遊ばせるのに少し抵抗を感じるようになってしまった。困っている人の声も聞いてほしい」と要望した。

JR西川口駅周辺で暮らす男性(77)は「外国人政策は選挙のための公約で終わらせず、しっかり実現してほしい」と話した。

治安悪化 安心できる街に

被害に歯止めがかからない特殊詐欺や、相次ぐ闇バイト強盗による国民の体感治安の悪化も政治が向き合う課題だ。

令和6年に首都圏で相次いだ闇バイト強盗事件。住民が死亡した横浜市青葉区の50代主婦は「なぜあの家が狙われたのか」との疑問が拭えない。個人情報を守れる法整備に加え、加害者を生まない社会づくりを求めた。同じく被害者が出た東京都葛飾区の70代女性は「刑罰を重くして抑止力にしてほしい」。

特殊詐欺への不安も大きい。世田谷区の80代女性は「怪しい電話はすぐに切る。交番も人が少ない。もっと街を巡回してほしい」と話す。

繁華街の治安対策を求める声も。東京・歌舞伎町商店街振興組合の事務局長、高木信之さん(68)は「子供からお年寄りまで安心して訪れることのできる街にしてほしい」と期待を寄せる。女性の支援活動に取り組むNPO法人「レスキュー・ハブ」の坂本新(あらた)理事長は、売春の客待ちについて「取り締まりだけでなく、住まいの確保などの支援策を講じてほしい」と求めた。

防災論戦低調 募る危機感

首都直下地震や南海トラフ地震など大規模災害への危機感が高まるが、衆院選では防災分野の論戦は低調だ。対策が遅れている地域の有権者からは懸念の声も上がった。

政府は今年秋にも対応の司令塔となる防災庁を設置し、内閣直轄機関として各省庁への勧告権を持つ基本方針を示した。人員は現在の内閣府防災部門の約1・6倍の350人体制へ移行させる。

現場レベルでは多くの課題が残されている。30年以内の発生確率が70%程度とされる首都直下地震で、木造住宅が密集する「木密地域」が残る東京都墨田区の京島地区もその一つ。地元商店街事務局長の大和和道さん(72)は「共助による備えを進めてきたが、高齢化に悩む。学生に街での活動を要望している」と後押しを求める。

区は建物の耐震化などに助成を行い、対策を進めているが、京島地区まちづくり協議会の阿部義栄会長(67)は「そもそも土地や建物の所有者が異なり、権利関係が複雑で難しいようだ。候補者には課題の隅々まで目を配ってもらいたい」と語った。

(市岡豊大、宇都木渉、海野慎介、前島沙紀、山本玲、梶原龍、堀川玲、永礼もも香、長谷川毬子、佐藤侑歩)

「入国要件の厳格化必要」「在留の年収制限も」

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