アングル:「高市トレード」で値幅取り活発、過熱感早くも 逆回転リスク
[東京 18日 ロイター] - 日経平均が心理的な壁の3万8000円を巡る攻防を続ける中、政局不安をにらんで一部には「高市トレード」とみられる動きが出ている。値動きの良い中小型株で利益を稼ごうと局所的に過熱感もみられる。あたかも石破茂首相の退陣を織り込むような動きになっているが、現時点では思惑先行で逆回転への警戒感も聞かれる。
石破首相の商品券配布は、問題が報じられてから日本株市場でも材料視されている。前回の自民総裁選で党員投票トップだった高市早苗前経済安保相を次期総裁の有力候補として関連銘柄の物色が活発化している。
同社株は咋秋の総裁選時、高市氏の勝利への思惑から「高市トレード」が盛り上がる中、告示日から投開票日までの期間に50%上昇した経緯があった。三木証券の北沢淳商品部投資情報グループ次長は「前回の総裁選の際に値動きの大きかった銘柄に物色が向かったようだ」とみている。
国内主要メディアの世論調査では、石破政権の支持率低下が報じられている。朝日新聞社が15─16日に実施した調査での支持率は26%で、前回2月調査の40%から大幅に下落した。商品券配布については75%が問題視したという。
商品券報道に先立つ形で、自民党の西田昌司参院議員が参議院議員総会で総裁の選び直しを主張し、記者団に対して前回総裁選で高市氏が党員投票で1位だったことに言及したことが伝わっており、市場の「高市銘柄」への思惑に拍車を掛けたとみられている。トランプ関税や米景気悪化への警戒感がくすぶる中、影響が及びにくい銘柄群との見方もある。
もっとも、これまでのところは思惑先行に過ぎないとみられている。内藤証券の浅井陽造シニアアナリストは「全体相場の手掛かりに乏しい中、時価総額が相対的に小さい銘柄で仕掛け的な買いが入ると値動きが大きくなりやすい」と指摘する。
例えば助川電気は25日移動平均線からの乖離率が10%を超え、買われすぎとされる5%を大きく上回った。一方、出来高は、総裁選相場のピーク時の220万株に対し、17日は17万株にとどまった。
「(出来高の)迫力を欠く上昇であり、幕間つなぎにすぎないだろう」と内藤証券の浅井氏はみている。三木証券の北沢氏は、政治動向は読みにくいと指摘し「思惑が途切れてくると、逆の動きになりやすいため注意が必要」と話している。
実際、石破首相の早期退陣シナリオはまだ、見えていない。上記の朝日新聞の調査で石破氏の辞任を巡っては60%が「その必要はない」と回答している。
(平田紀之 編集:橋本浩)
◎「高市トレード」関連銘柄の値動き
出所:LSEGデータを基にロイター作成。「総裁選時」は告示日の9月12日から投開票日の27日の期間の騰落。
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