欧州ガス価格は高止まりの見通し、ロシア-ウクライナ間で供給停止
- 3日時点でメガワット時50ユーロ近辺-14カ月ぶり高水準
- 欧州内のガス貯蔵は昨年以下-次の暖房シーズンに向けた備蓄難しく
欧州の天然ガス価格は、今週も週間ベースで上昇の公算が大きい。ウクライナを経由するロシアからの供給が途絶えたことで、市場は備蓄の枯渇と供給の逼迫(ひっぱく)に直面している。
ベンチマークとなる先物価格は3日、メガワット時当たり50ユーロ近辺で取引され、今週は約5%高で取引を終える勢いだ。年末年始の休暇で取引量が減少している中でも、3週連続の上昇となりそうだ。
ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機を経験してから2年以上が経過した今、欧州のガス価格は14カ月ぶりの高水準で推移している。ガスの貯蔵が危機以前の最速ペースで減少している中、1日にウクライナ経由のガス供給が停止した。
その上、気温も低下しており、ガス利用がさらに加速する恐れがある。欧州の地下施設にあるガス貯蔵量は72%程度。前年のこの時期は86%だった。すぐに供給不足に陥る危険性は低いものの、供給がタイトな今冬の状況では、次の暖房シーズンに向けた備蓄は難しそうだ。
ラボバンクの欧州エネルギーストラテジスト、フローレンス・シュミット氏は「貯蔵のための需要増により、今後数カ月間、ガス価格は高止まりするだろう」と述べた。
現在の価格変動は、ノルウェーのハンメルフェストLNGプラントがコンプレッサーの故障で9日まで操業停止していることも影響している。今後、世界的なLNG輸出プラントで混乱が生じれば、価格変動はさらに大きくなるリスクがある。
アンソニー・ユエン氏をはじめとするシティグループのストラテジストは、長期的には、ロシアからウクライナ経由の供給も含めて市場への供給は増えると見込んでおり、価格は最終的に落ち着くとみている。
同氏らはリポートで、「政治や地政学、ロシアとウクライナの関係が関わっている場合、交渉の予測不可能性は考慮しているが、経済的なインセンティブは最終的な供給再開を示唆している」としている。
原題:European Gas Set for Weekly Gain as Supply Risks Rattle Market(抜粋)