トランプ氏、「相互関税」の対象から数十の食品を除外 コーヒーやトマト、牛肉など

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アメリカのドナルド・トランプ大統領は14日、世界各国からの輸入品に課している「相互関税」の対象から、数十の食品を除外する大統領令に署名した。コーヒーやバナナ、牛肉など幅広い食品が対象から外れることになる。

ホワイトハウスが発表した関税除外対象リストには、アボカドやトマト、ココナッツ、マンゴーなど数十の幅広い食品が含まれる。

トランプ政権は14日、これらの食品は国内では十分な量を生産できないと説明した。

ホワイトハウスによると、今回の除外措置は11月13日木曜日午前0時にさかのぼって適用される。

トランプ氏は長らく、自分が課した関税(現在はすべての国からの輸入品に一律10%の基本関税と、多くの貿易相手国に追加関税を課している)によってアメリカ国民が物価上昇に直面することはないと主張していた。また、「手ごろな価格」というのは民主党が作った「新しい単語」で「詐欺」だとしていた。

トランプ氏は、アメリカの貿易赤字を削減するために関税措置が必要だと主張してきた。アメリカが「不正を働く者」に搾取され、外国人に「略奪」されてきたとして、より高い関税を課せば、アメリカの人々に米国製品の購入を促すことになるとも述べていた。

だが、食料品や牛肉の価格高騰はトランプ氏にとって政治的問題となっている。トランプ氏は先週、国内の食肉加工会社について独占禁止法違反の疑いで捜査を行うよう求めた。トランプ氏は食肉加工業者が価格をつり上げたことが、牛肉の価格高騰につながったとしており、「違法な共謀や価格操作」を行っていると非難している。

一方で、関税措置への支持を集めようと、関税収入を財源に、高所得者を除く国民に2000ドルの配当を小切手で支給する意向を示している。こうした中、米連邦最高裁判所では、トランプ氏に関税措置を発動する法的権限があるか審議されている。

今回の措置は、トランプ氏による方針転換を示す。トランプ政権は、一部の食品に対する関税を取りやめることで物価を引き下げようとしている。

複数のエコノミストはかねて、関税によるコストが企業にかかるため、企業は価格を引き上げるし、そのしわ寄せが消費者に行くことになると警告していた。

9月のインフレ率はアナリストの大方の予想より低めだった。しかし、インフレに関する労働省の報告によると、追跡対象の品目の大半は値上がりし、食料品価格は前年より2.7%上昇していた。

トランプ政権は、消費者の食料品価格への懸念に対処するため、アルゼンチン、グアテマラ、エルサルヴァドル、エクアドルについては、4カ国との貿易協定の一環として、コーヒーとバナナに対する関税を引き下げるとも発表した。

トランプ氏とスコット・ベッセント財務長官は今週、コーヒーの価格を引き下げると誓っていた。アメリカでは今年に入り、コーヒーの価格が20%上昇している。

ホワイトハウスは、関税の対象から外れる100を超える品目のリストを公開した。その一部は以下の通り――。

・牛肉製品(高級部位、骨付き・骨なし肉、コンビーフ、一部の冷凍製品、塩漬け、乾燥または燻製肉など)

・果物類(アサイー、アボカド、バナナ、ココナッツ、グアヴァ、ライム、オレンジ、マンゴー、プランテン、パイナップル、各種トウガラシ、トマトなど)

・香辛料(オールスパイス、ローリエ、カルダモン、シナモン、クローブ、コリアンダーシード、クミンシード、カレー、ディルシード、フェンネルシード、ショウガ、メース、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、サフラン、ターメリックなど)

・ナッツ・穀物・根菜・種子類(大麦、ブラジルナッツ、ケイパー、カシューナッツ、クリ、マカダミアナッツ、味噌、ヤシの芯、松の実、ケシの実、タピオカ、タロイモ、シログワイなど)

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