ECBは6月までに1回は大幅利下げ、トレーダーの賭けが増加
- 米金利動向次第でECBの利下げ幅は拡大も、ストラテジストが指摘
- オプション取引、今後4回で125bp利下げなら投資額の25倍利益も
欧州中央銀行(ECB)の利下げ幅について、年央までに少なくとも1回は0.5ポイントになるとの見方がトレーダーの間で広がりつつある。
ブルームバーグが集計したデータによると、6月が期限の欧州銀行間取引金利(EURIBOR)3カ月物と連動するオプションに取引が集中しており、年初から急速に積み上がっている。
特に、今後4回の政策決定会合でECBが中銀預金金利を計125ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げた場合、購入価格の25倍に相当する1100万ユーロ(約17億9000万円)余りが支払われるオプションも見受けられる。これは4会合のうち1回で50bp利下げがあることを示唆する。
今週の世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)でECB当局者は、インフレ率が年内に2%に達する可能性が高いとして追加利下げを行う意向を表明。0.25ポイントずつの利下げが続く可能性もある。政策会合の日程に連動するスワップ金利には、1月30日の次回のECB会合での0.25ポイント利下げが織り込まれている。
スワップ金利が織り込むECBの金利見通しは、0.25ポイントが6月までに3回、年末までに4回の利下げだ。米連邦準備制度の次の動きはそれほど明確ではなく、市場の見方は年内の利下げが1回と2回でほぼ五分五分に分かれている。
INGグループのストラテジストらは、ECBの金利見通しは米国の利下げ規模が大きくなるとの見方が広がるかに大きく左右されると指摘。その場合には、通年で1ポイントのECB利下げの予想も十分ではなくなる可能性があるとみる。
INGのシニア欧州金利ストラテジスト、ミヒル・タッカー氏は「市場はターミナルレートが1.5%に近づくとの見方を再び抱き始める可能性が高い」と、顧客向けリポートに記した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、6月を期限とするEURIBORコールオプションの取引は22日に約60万枚に達した。同月限のオプション建玉残高も年初から約75%増加し、約200万枚となった。
原題:Traders Pile Into Bets on Half-Point ECB Rate Cut by Mid-Year(抜粋)