祝日カットで財政赤字削減、フランス首相が来年度予算方針で提案
- イースターマンデー、戦勝記念日を廃止し生産増加狙う-反発必至
- フランス、多額の財政赤字が課題-前首相は緊縮予算が反発呼び辞任
フランスのバイル首相は15日に発表した予算方針で、公共財政の立て直しを図る抜本的な取り組みの一環として、2日分の祝日の廃止を提案した。この提案は、今秋の議会で強い反発を招きそうだ。
バイル氏は同日、フランスが抱えるユーロ圏最大の財政赤字を削減するため、総額438億ユーロ(約7兆5700億円)規模の対策案を示した。祝日の廃止のほか、高所得者への新税導入や、年金と社会福祉給付を2025年の水準で据え置く凍結措置などが盛り込まれた。
バイル氏はパリでの演説で、フランスは公的支出への依存症にかかっており、「死に至る危険」に瀕していると警告。何もしなければ債務は1秒ごとに5000ユーロ増加し、利払い費は2029年に1000億ユーロに達する見通しだと指摘した。
イースター(復活祭)後の月曜日「イースターマンデー」と5月8日の「戦勝記念日」の2祝日の廃止を提案すると同氏は述べ、「今が崖っぷちだ。このままでは債務に押しつぶされてしまう。国全体がもっと働き、生産を増やし、年間を通じた経済活動全体を底上げしなければならない」と呼びかけた。
支出削減や増税といった不人気な政策で議会の説得にあたる時間を確保するべく、バイル氏は例年9月に行われる予算案の提出を前倒しした。バルニエ前首相は昨年、25年度財政計画を巡る議会との対立の末、12月に辞任に追い込まれた。
バイル氏の提案に対し、国民議会(下院)で最大議席を持つ極右政党「国民連合(RN)」のバルデラ党首は即座に反発。X(旧ツイッター)に「私たちの歴史、ルーツ、そして労働者への直接的な攻撃だ」と投稿した。
中道派のバイル氏は、悪化する財政状況と政情不安を背景に、過去1年間にフランス国債を売却してきた投資家の圧力にもさらされている。
フランスの借り入れコストは、他の欧州諸国と比べて上昇している。15日には10年物のフランス債とドイツ債の利回り差(スプレッド)が約70ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、3週間ぶりの高水準付近で推移した。
バイル氏の財政計画の目的は、今年で国内総生産(GDP)比5.4%に上る見通しの財政赤字を、26年には4.6%に縮小させ、29年までに欧州連合(EU)が基準とする3%以内に抑えることだ。バイル氏は演説で、この目標を改めて強調した。
原題:France Proposes Axing Two Public Holidays to Tackle Budget Hole(抜粋)