10000mAhなのに薄いスマホは、そう来たか。新たなる刺客、Itelの変態端末たちをチェック(スマホ沼)(テクノエッジ)
みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家の山根康宏です。世界のスマートフォン出荷台数はここのところアップルが絶好調で1位、それをサムスンとシャオミが追いかけています。ちなみに4月にイタリア・ミラノのアップルストア「Apple Piazza Liberty」を訪問しましたが、高さ約8メートルのガラス壁から滝のように水が流れる象徴的なデザインに惚れ惚れしました。 【この記事の他の写真を見る】 この3社を追いかけるのがOPPOとTrannsionグループです。TrannsionはTECNO、Infinix、Itelの3社を傘下に持ちます。TECNOは世界最薄モデルなどを出すなどテクノロジー面でグループをけん引。Infinixも太陽電池充電モデルや縦の3つ折りモデルコンセプトを出すなど、特徴ある製品を次々と発表しています。 一方、Itelは3社の中でもコスパ重視のモデルを担当。機能よりも価格を重視したモデルを多く出しています。製品数も多く、インドやアフリカ、東南アジアなど新興国では一定のブランド力を誇っています。実際にどのような製品を売っているのか、まずはインドのItelをチェックします。 確かに価格は安く、1万円程度からのモデルがそろっています。「Zeno 10」はUNISOC T603搭載の4G機で、6.6インチHD+ディスプレイにフロント800万画素カメラ、メインカメラは5000万画素、バッテリーは5000mAh。メモリとストレージ構成が3GB+64GBで5999ルピー、約1万円です。 マスコットアイコンがカッコいいのですが、本体デザインはiPhone風。他にも同じようなデザインのモデルが多くあります。ただ、こちらの「A95 5G」は、縦並びカメラなど独自性を持たせたデザインのようで、正式発表が気になります。 インドでは最上位モデルでも日本円で2万円程度と、低価格路線を守っていることがわかります。他の国では若干、性能を上げたモデルも展開中。とはいえ大半は4G機です。名前からしてアレな「Itel S25 Ultra」はフィリピンなど東南アジアで販売中、価格は1万ペソ程度、3万円弱です。 スペックはUNISOC T620、6.68インチFHD+ディスプレイ、5000mAhバッテリーに5000万画素カメラを搭載。オリジナルであるサムスン機と同じカメラデザインながら、実際はマクロを含めた2眼のみだそう。見た目重視ってことですね。 インドネシアでは10000mAhバッテリーを謳う「Power 70」が発売中。Helio G55搭載のこれも低価格な4G機。製品写真にケースが一緒になっているのが気になります。 巨大バッテリーをどうやってこのサイズに搭載しているのかと思いきや、答えは簡単。本体は6000mAhバッテリーを内蔵、ケースに4000mAhバッテリーが入っており、合わせて10000mAhというわけ。うん、このやり方は好きです。 他にもいろいろなスマートフォンがありますが、Itelが最新技術やデザインよりも、価格や使い勝手を重視したモデルを出していることがわかるでしょう。さらにインドやアフリカではフィーチャーフォンもまだ販売中で、新製品も頻繁に出ています。気になったのがこちら。上部のアンテナ部分に特徴があります。 シグナルエンハンスメントテクノロジーで強力なアンテナ感度を実現したフィーチャーフォン。マイナス40度からプラス70度まで使えるタフ仕様です。トリプルSIMカード対応も面白い。残念ながら2G(GSM)のみなので使える場所は限られちゃいますが。価格は1399ルピー、約2300円。インドに行ったら現地の通話用に買うのもいいかも。 縦折りの「Flip One」もGSM機。海外だと4Gモデルもあるんですが、Itelは価格にこだわりフィーチャーフォンは2Gのみ。2499ルピーなので約4200円です。 これは大昔のモトローラのプレミアムモデル「AURA」からインスパイアされたであろうデザインで、無名メーカーの山寨機(さんさいき)を含め、延々とどこかのメーカーが類似デザインを出しているモデル。「Circle 1」はちゃんと首からぶら下げることのできるストラップホールもついています。1899ルピー、約3200円。インドのアマゾンを見たら999ルピー、約1600円でした。 日本ではTECNOやInfinixですらあまり知られていませんが、Itelも新興国では地道に製品を増やしシェアを伸ばしています。海外旅行時に見たことも無いスマートフォンを見かけたら、Itelの製品かもしれません。
TechnoEdge 山根康宏