クレーン倒れ列車に衝突、少なくとも32人死亡 タイ
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ジョール・ギント記者、ジョナサン・ヘッド東南アジア特派員、ジェシカ・ローンジー記者
タイ北東部で14日、建設用クレーンが走行中の列車の上に倒れ、少なくとも32人が死亡し、66人が負傷した。
クレーンは列車を脱線させ、複数の車両を押しつぶした。また、1両が炎上した。当局によると、負傷者には1歳と85歳の人が含まれ、7人が重体だという。
タイ国鉄は、クレーンを管理していた建設会社イタリアン・タイ・デヴェロップメントに対して法的措置を取るとしている。同社は遺憾の意を表明し、死傷者の家族に補償を行うと述べた。
当局によると、事故は現地時間午前9時(日本時間午前11時)ごろに発生。バンコクから北東部のウボンラーチャターニー県に向かって走行していた列車には、約171人の乗客が乗っていた。多くは、学校や仕事に向かう学生や労働者だった。
現地メディア「ザ・ネーション」は、事故はクレーンが大型のコンクリート部材をつり上げていた際に発生したと報道。その部材が列車に落下して複数の車両が脱線したと伝えた。
列車乗務員のティラサク・ウォンソーンナーン氏は地元メディアに対し、クレーンが倒れた後、乗客と共に空中に投げ出されたと語った。
目撃者のマリワン・ナクトーン氏は、BBCタイ語に対し、クレーンが崩れ落ちる瞬間を見たと話し、「小さな破片、コンクリートのかけらのようなものが落ち始めた」と語った。
「それらが落ちた後、クレーンはゆっくりと滑り落ちて衝突した。激しい衝突で、それから倒れて列車を押しつぶした」
「全体の出来事は1分もかからなかった」と、ナクトーン氏は付け加えた。
タイのアヌティン・チャーンウィラクル首相は、この事故について「誰かが処罰され、責任を負うべきだ」と述べた。
「このような事故は、過失、手順の省略、設計からの逸脱、または不適切な資材の使用によってのみ起こり得る」と、アヌティン氏は話した。
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このクレーンは、タイと隣国ラオスを結ぶ高架鉄道の建設に使用されていた。計画は、中国が支援する54億ドル(約8500億円)規模のプロジェクトの一部。ラオスではすでに、中国が建設した高速鉄道が、中国南西部に向けて運行している。
「地域連結に向けたバンコク-ノンカイ高速鉄道開発」プロジェクトには、事故が発生したラムタコーン-シキオ区間を担当する企業として、イタリアン・タイ・デベロップメントが記載されている。
タイ国鉄は同社を提訴すると発表した。列車の車両だけでも、概算の損害額は1億バーツ(約5億円)を超えると報じられている。
タイの大手請負業者の一つである同社は、昨年3月にミャンマーとタイを襲った大地震で崩壊したバンコクの高層ビルの建設を担当していた。この崩壊をめぐっては、同社の社長と複数の設計者や技術者が業務上過失で訴追されている。一部は不正行為を否定している。
中国国営メディアによると、タイにある中国大使館は、クレーンの事故には中国の建設会社や作業員は関与していないと述べた。
タイでは、安全基準や規制の取り締まりが不十分なこともあり、建設事故で死者が出ることは珍しくない。
2023年には、東部で貨物列車が線路を横断していたピックアップトラックと衝突し、8人が死亡、4人が負傷した。
また、過去7年間で、バンコクから南部へ続く道路改良プロジェクトに関連する多数の事故で、約150人が死亡している。