米トランプ「ドンロー主義」に対して日本が今すぐやるべきこと、「防衛力の強化」ともう1つは?(ダイヤモンド・オンライン)

高橋浩祐さんが推薦中

 トランプ米大統領がベネズエラ攻撃に続いてグリーンランド領有に意欲的だ。中国やロシアへの抑止力に加えて、ベネズエラで石油を抑え、グリーンランドでレアアースを確保したい意向があるようだ。トランプ氏は、習近平国家主席やプーチン大統領と同様、武力による覇権拡大に手を付け始めた。世界平和や秩序は崩壊の危機に直面している。わが国がすべきことは何か。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫) 【この記事の画像を見る】 ● 「ドンロー主義」に対して 日本が今すぐやるべきことは  1月3日未明、米軍はベネズエラの複数地点を攻撃し、マドゥロ大統領夫妻を拘束した。国際政治の専門家からは、「主権侵害であり、国際法違反」などの指摘が相次いだ。それでも今のところ、トランプ大統領は意に介していないようだ。  むしろトランプ氏は、19世紀の欧米列強が取った拡張主義を進め、法律ではなく武力による支配を考えているようだ。ベネズエラ攻撃後、トランプ氏はその姿勢を「ドンロー主義」(ドナルド・トランプ版のモンロー主義)と自ら名付けて、世界に向けて発信している。  一部の識者からは「米国のトランプ大統領、中国の習近平主席、ロシアのプーチン大統領と強力な権力を持ち、何をするか予測が難しいリーダーがそろった」と揶揄(やゆ)する声もある。それは、法的秩序とソフトパワーを基礎にした、これまでの世界秩序の構図を根底から覆す動きだろう。  対して、わが国がすべきことは何か。まず、独自のスタンスで欧州やアジア地域などの主要民主国家と関係を強化し、連携を深めることが挙げられる。つまり、法的秩序や国家間のルールを守る体制整備に努め、崩れつつある世界秩序の再構築を図ることだ。  しかし、それだけでは足りない。自国の防衛力を整備し、自国を守る能力を強化することも必要だろう。これまでの常識が通用しない世界が到来している。私たちは頭を切り替える必要がある。

● わが国は自国の防衛力に 責任を持つよう求められている  そもそも、「モンロー主義」とは1823年にジェームズ・モンロー米大統領(当時)が表明した外交方針を指す。当時、米国は欧州の紛争に介入しない代わりに、欧州諸国に南北アメリカ大陸に干渉しないよう求めた。これをモンロー主義という。  欧州の列強は19世紀、アジア、アフリカ、中南米などで植民地を増やした。20世紀初頭になると、対外債務不履行を理由にベネズエラに対する海上封鎖を行った。当時のセオドア・ルーズベルト米大統領は、モンロー主義を修正した。軍事介入を正当化し、欧州の介入を排除しようとした。ルーズベルトは、自らの方針を「話すときは穏やかに、しかし手には棍棒(こんぼう)を」と形容したといわれている。  こうした考え方を基礎に、トランプ大統領は「米国を再び偉大にする」(MAGA)ため、国家安全保障戦略(NSS)では国益を極大化する方針を示した。それが、中国の影響力が高まる、中南米を最重視する方針だ。  一方、これでインド太平洋や欧州の安定にコミットしないことは明確になった。わが国など同盟国には、自国の防衛力に責任を持つよう求めた。米国が他国に関心を持つのは、自国の利益になるときだけというのが基本方針だ。  この方針では、日欧が安全保障の基礎として重視した、米国との同盟関係は事実上かなり軽いものになるだろう。実際、欧州諸国には、「米国はもう信用できない」との声もある。これまで米国が重視してきた法律や政治、文化などソフトパワーによる世界安定への寄与は放棄されるとの見方すらある。  トランプ氏の政策をそのまま受け取ると、今後、米国は主に軍事力によって自国利益の実現に走るだろう。米国の軍備を拡張し、武力に基づいて、国内の製造業の復興も実現しようとしている。これが実現すれば、最終的に米国の覇権は強大化する。  NSSでは欧州に対する強硬姿勢も示している。米国の防衛力に頼っているのだから、米国の国益に反する政策を止めるよう求めた。これは、欧州に対する警告ともとれる。米国の意図に沿わないものは、決して容認しない姿勢と解釈できる。

ダイヤモンド・オンライン
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