宇宙に実在するインフレしすぎた数字4選。(宇宙ヤバイchキャベチ)
どうも。宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。今回は「宇宙に実在するインフレしすぎた数字4選」というテーマで、解説していきます。
宇宙には、美しい景色、未解明の謎など、いろいろな魅力があります。
僕が特に好きなのは、日常からかけ離れた「インフレした数字」です。
「天文学的数字」という表現の通り、桁の大きな数字はまさに宇宙に実在し、その壮大さを実感させてくれます。
今回は、その中でも特にインフレが過ぎる数字を4つ紹介します。
○ 宇宙にある星の数
Credit: NASA, ESA, S. Beckwith (STScI) and the HUDF Team最初は、宇宙にある星の数です。
私たちの銀河系の恒星数は、おおよそ1000億〜4000億個と見積もられています。
観測可能な宇宙にある銀河の数は、少なくとも1000億以上、推定によってはさらに多い可能性があります。
銀河1個あたりの恒星数を10^11〜10^12個、銀河数を10^11〜10^12個とすると、単純計算で宇宙全体の恒星数は10^22〜10^24個程度になります。
これは地球上に存在する砂粒の推定個数より多い計算です。
また、観測可能な宇宙の外側にも私たちに情報が届かない領域が広がっている可能性が高く、全体としての星の総数はさらに大きいかもしれません。
○ インフレーション時の膨張
Credit: NASA/WMAP Science Team続いて、宇宙誕生直後に起きたとされる「インフレーション」です。
これはごく短時間に宇宙のスケール因子が指数関数的に増大した現象で、典型的には約10^26倍以上の拡大が必要とされます。
期間は理論やモデルにより幅がありますが、一般にビッグバンのごく初期(おおむね10^-36〜10^-32秒頃)に起きたと考えられています。
重要なのは、ここでいう“超光速”は物体の運動ではなく「空間自体の伸び」であるため、相対論の「光速の壁」と矛盾しないという点です。
○ 宇宙の最高温度(プランク温度)
温度の下限である絶対零度は有名ですが、理論上の上限としてしばしば参照されるのが「プランク温度」です。
現在の物理法則がそのまま適用できる限界を示す指標の一つで、値は約1.4168×10^32 Kです。
宇宙誕生直後の瞬間は、まさにこの温度に相当していた可能性があります。
これより高温の領域では量子重力効果が支配的となり、通常の熱物理の延長では記述が難しくなると考えられます。
○ 宇宙最大級ブラックホールが蒸発し終えるまでの時間
Credit: ESA/Hubble, NASA, M. Kornmesser最後は、超巨大ブラックホールが完全に蒸発するまでの時間です。
ブラックホールはホーキング放射により極めてゆっくり質量を失います。
その寿命は質量の3乗に比例し、太陽質量1個のブラックホールでも約10^67年という、とてつもなく長い時間がかかります。
数倍の恒星質量でも桁はほとんど変わらず、10^68〜10^69年規模です。
観測史上最大級の一つであるクエーサー TON 618 の中心ブラックホールは、質量がおよそ660億太陽質量と紹介されています。
この質量を寿命のスケーリングに当てはめると、おおよそ10^100年(1グーゴル年)級の寿命になります。
https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/How_many_stars_are_there_in_the_Universe esa.int
https://wmap.gsfc.nasa.gov/universe/bb_cosmo_infl.html wmap.gsfc.nasa.gov
YouTubeで登録者数29万人「宇宙ヤバイch」で最新ニュースなどを解説しています。/23歳で北海道大学経済学部に入学→29歳で卒業/書籍「宇宙ヤバイ スケール桁違いの天文学」好評発売中/北海道札幌市でキャベチによる生解説が聞けるバー「宇宙ヤbar」営業中/好きな天体は海王星とブラックホール!