トランプ氏、EUに圧力-米国産石油・ガス購入増やさなければ関税
トランプ次期米大統領は20日、欧州連合(EU)加盟国が米国産の石油やガスをより多く購入しなければ関税を課すと脅し、圧力をかけた。
トランプ氏は「米国の莫大な貿易赤字を埋めるために、EUは米国の石油やガスを大量に購入しなければならないとEUに伝えた。さもなければ、関税を課す!」と、自身のソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。
米国は世界最大の産油国であり、液化天然ガス(LNG)の最大の輸出国。EUやベトナムを含むLNG購入国は、関税の脅威を阻止する目的もあり、米国からの燃料購入を増やすことをすでに検討している。
EU当局者および加盟国は先月のトランプ氏の当選以来、貿易攻勢に備えてきた。
トランプ氏は前回任期中の2017年、国家安全保障上の懸念を理由に欧州産の鉄鋼とアルミニウムに関税を課した。
この時不意を突かれたEUは以来、貿易に関する原則を再構築し、対応手段を拡充して強圧的な慣行に対抗するためのさまざまな選択肢を用意してきた。
ドイツのベーアボック外相は11月後半にイタリアで開催された主要7カ国(G7)会議の後「米国の政権交代により状況が変わる可能性に備え、われわれは十分に準備している」と述べ、「もし米国の新政権が気候や貿易の分野で『アメリカ・ファースト』政策を推進するならば、われわれの対応は『欧州の結束』となるだろう」と語った。
Western Europe’s LNG imports from the US, Russia
Source: Ship-tracking data compiled by Bloomberg
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は先月、米国からの輸入でEUのロシア産LNG消費量を代替できる可能性を示唆した。
LNGは「われわれが触れた話題の一つだ」とフォンデアライエン氏はトランプ氏との電話会談後に述べた。「われわれは依然としてロシア経由やロシア産の大量のLNGを輸入している。より安価な米国産LNGに置き換えて、エネルギー価格を引き下げようではないか」と語った。
しかしEUは依然として、最終的にワシントンとの貿易戦争に突入する可能性も視野に入れている。EUの新たな対抗措置は貿易防衛を強化し、EUの行政執行機関である欧州委が、政治的な動機に基づく他国の制限措置に対して関税やその他の懲罰的措置で対抗することを可能にする。
EUはまた、いわゆる外国補助金規制(FSR)も採択している。この規制により、欧州委はEU外企業が自国からの不当な補助金を受け取っている場合、当該企業がEU内で公共入札やM&A(企業の合併・買収)取引に参加するのを阻止することができる。
トランプ氏はEUに対して複数の不満を抱いており、欧州が防衛費を十分に支出していないことや、EUに対する米国の貿易赤字を理由に欧州を批判してきた。かつてはEU機関の所在地であるブリュッセルを「悪の巣窟」と表現したこともある。最近には、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して防衛費の目標を達成しなければロシアに「好き勝手にやらせる」と伝えたことがあると述べた。
欧州はすでに米国産LNGの最大の輸出先となっており、昨年は米国の全輸出量の半分以上が欧州大陸向けだった。
原題:Trump Threatens Tariffs Unless EU Buys More US Oil and Gas (3)(抜粋)