【債券週間展望】長期金利は日銀の情報発信で上下、タカ派かハト派か
日高正裕
3月第3週(17-21日)の債券相場は、日本銀行の金融政策決定会合とその後の植田和男総裁の情報発信がタカ派になるかハト派になるかが焦点で、それによって上下に振れる展開が見込まれている。
市場参加者の見方
◎三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャー
- 日銀の利上げは7月との見方が多いが、それより前倒しされる可能性が高い
- 過去最高水準に達している投機筋の円買いポジションが巻き戻されて急激に円安が進むリスクを考慮、植田総裁の会見は市場の予想よりタカ派的になる可能性がある
- トランプ米大統領の関税政策によるリスク回避の動きや、米国の根強い利下げ観測といった国内金利の低下要因よりも、日銀の利上げ観測の影響が勝るだろう
- 新発10年国債利回りの予想レンジは1.48-1.6%
◎ りそなアセットマネジメントの藤原貴志債券運用部長兼チーフファンドマネジャー
- 米国の金融コンディションが2月以降急速に悪化しており、金融は全般に引き締まる傾向にある。クレジット市場が変調を来し、何かイベントが起きてもおかしくない
- 日銀は昨年7月の利上げ後、世界的な金融市場の混乱という経験があり、金融市場が不安定な状況では早期の利上げに慎重だろう
- 植田総裁は5月の利上げを示唆するような発言は控え、タカ派的な情報発信はないとみる
- 債券は当面売りにくい状況が続き、目先は金利低下方向を見込む
- 新発10年国債利回りの予想レンジは1.47-1.57%
国債入札
予定なし
日銀買い入れ
対象年限 買い入れ額 17日1年超3年以下
3年超5年以下
5年超10年以下
10年超25年以下
3000億円
3000億円
3250億円
1500億円
主な材料
- 19日:日銀金融政策決定会合の結果発表、植田総裁会見
- 19日:米連邦公開市場委員会(FOMC)、声明と経済予測発表、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長会見
- 20日:イングランド銀行(英中銀)が政策金利発表
- 20日:中国人民銀行(中央銀行)がローンプライムレート(LPR)1年物と5年物を発表
- 21日:2月の全国消費者物価指数(CPI)
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