4億人が集まるインドの宗教行事、行方不明者の捜索にAI活用

Saritha Rai、Supriya Batra

  • 大勢の巡礼者が押し寄せる祭典では迷子や高齢者の置き去りが問題に
  • AIで行方不明者のデジタル画像を生成、カメラで群衆をスキャン

インドは世界最大規模の宗教行事で古くから続いてきた問題の一つを、最先端テクノロジーを使って解決しようとしている。

  13日に始まったヒンズー教の祭典「マハ・クンブ・メラ」は、6週間の開催期間に約4億5000万人の参加者が見込まれる。当局は、安全確保を目的とした巡礼者の追跡に顔認証カメラなど人工知能(AI)を搭載した技術を活用。そうしたAI技術は行方不明者の捜索にも役立てられるという。

  インド北部プラヤグラージでは約10年に1度の宗教行事に合わせ、米国とカナダの人口を合わせたよりも多くの巡礼者が集まる。その群衆をリアルタイムで監視するため、数千台に上るカメラが設置された。

  同地の警察幹部ラジェシュ・ドゥイベディ氏は「今回初めて、顔認証とAIを使って行方不明者の捜索を行う」と説明。「それでも完璧とは言えないが、目標は『ある程度完璧な技術』を持つことだ」と語った。

  大勢の巡礼者や観光客が押し寄せる同祭典では、迷子や意図的な高齢者の置き去りが特に問題となってきた。過去数十年、当局は迷子センターの設置や公共のアナウンスシステムを通じて行方不明者の追跡を行っていたが、そうした方法では安定的な効果を挙げられていなかった。

  ドゥイベディ氏は、AIを活用した技術を利用することで、より多くの人の再会が実現することを期待している。祭典会場に設置されたカウンターで親族が行方不明者の捜索願を出すと、AIツールが行方不明者のデジタル画像を生成。その画像を何千台ものカメラでスキャンし、群衆の中から行方不明者を探し出すという。

  同氏は「ショッピングモールや駅など顔認証AIがうまく機能する場所とは異なり、ここでの群衆は整然と移動することはないだろう」と語る。それでも現地メディアによれば、初日には250人超の行方不明者が家族との再会を果たした。

原題:Cutting-Edge AI to Find Missing Relatives at Ancient Kumbh Mela(抜粋)

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