『ぽこポケ』予想外の大ヒット 任天堂時価総額2兆円増、Switch 2値上げ遠のく?

ポケモン公式YouTubeチャンネルより

Nintendo Switch 2専用タイトル『ぽこ あ ポケモン』(以下「ぽこポケ」)は、発売わずか4日間で220万本を販売し、大きな驚きを呼びました。これを受けて同社の株価も急騰し、時価総額は一気に約2兆円も増加その後も上昇は持続中で、時価総額も約11兆円規模で安定しています。

そんななか、『ぽこポケ』が「Switch 2の本格的なシステムセラー(本体の普及を後押し)になり得る」との見通しを米ウェドブッシュ証券が示しました。

同社は海外ではテック株の情報に強いことで知られ、iPhoneなどアップルの未発表製品に関する予想レポートにも定評があります。

そのウェドブッシュのアナリストは「ぽこポケ」の初期ヒットを「ソフトの装着率を押し上げ、ハード出荷の下限見通しを引き上げることになるでしょう」「『ぽこポケ』は極めて高い販売速度を示しています。発売初週のうちに世界の小売店で物理在庫が広範に枯渇したこと、そして記録的なSNSエンゲージメント指標が示されていることは、予想を上回る販売ペースを示唆しています」と述べているとのことです。

そうした分析のもと「当社は、このタイトルが正真正銘のコンソール(ゲーム専用機)牽引タイトルとして確立されると考えています」との確信を打ち出しています。

東京を拠点とするアナリスト、セルカン・トト氏はBloombergに「誰もこれほどの成功を予想していなかった――誰もこれほどの高品質を予想していなかった」「任天堂のゲームが偶然『爆発』するという非常に稀なケース」と驚きを述べています。

なぜ、これほど株式市場が衝撃を受けているのか。各メディアやアナリストの見解を総合すると、1つは「ポケモンIPとはいえ本編でもないスピンオフ、しかもSwitch 2専用が、これほど売れるとは予想してなかった」ことです。

本作がSwitch 2専用となったのは、おそらくポケモン本編ではなくプレイ人口を最大化する重荷を背負わないため、ハード性能を高く設定して「快適さ・面白さ優先」が可能になったためと推測されます。

その外様に近い立ち位置(コーエーテクモゲームスと協力)ゆえの身軽さが、Switch 2のポテンシャルを引き出し、ユーザーに「Switch 2を買う必要」を“分からせる”可能性もあるでしょう

第2に、現在はイラク紛争への懸念や原油価格の急騰により、世界株式が落ち込むとともに、世の中も暗い雰囲気にあります。そのなかで、ポケモン×スローライフ×クラフトで、戦闘やハイスコア、目標に追われることがない「ぽこポケ」は、ちょうどコロナ禍のもとで人々に癒やしを与えた『あつまれ どうぶつの森』に近いポジションにハマったのかもしれません

この一件は、とくに日本のゲーマーにとって大きな意味があります。日本語専用モデルは安く抑えられ、「売れば売るほど赤字」との憶測もある一方で、国内のソフト装着率も欧米より低く、いずれ本体価格の値上げは避けられないとの見方もあります。

もしも「ぽこポケ」により普及が加速するとともにソフト装着率も上がれば、値上げの恐れは遠ざかるかもしれません。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、マグミクスで記事を執筆中。

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