ベッセント長官、参院選で「日本は難しい立場」-利下げやドルにも言及

ベッセント米財務長官は日本との貿易協議について、日本の国内政治が交渉を複雑にしている可能性があるとの見方を示した。複数回の交渉にもかかわらず日米はまだ合意に至っていない。複数のメディアでインタビューに応じた同長官は、このほかに連邦公開市場委員会(FOMC)の政策やドルの地位についても語った。

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  ベッセント氏は経済専門局CNBCとのインタビューで、「日本は素晴らしい同盟国だが、今は難しい立場にある。7月20日に参議院選挙を控えており、それが取引を進める上で多くの国内的制約をもたらしていると思う」と発言。「日本との合意がどうなるかは、見守ることになる」と話した。

  一方、欧州連合(EU)の通商担当者とは3日朝に会談したとし、欧州当局とはグリア米通商代表部(USTR)代表が「この週末に精力的に作業を進める」とベッセント氏。「従って、EUとは何ができるか見極めていく」と語った。

  ベッセント氏は、上乗せ関税の一時停止措置が期限を迎える7月9日以降の貿易協議延長については、トランプ大統領が決めると述べた。

  「われわれは大統領の意向に従う。貿易相手が誠実に交渉しているかどうか判断するのは大統領だ」と期限延長の可能性についての質問に回答。「彼らがゴールを目指すべきこの時に、私が全国放送で10%の延長を与えるようなことはしない」と語った。

  EUや日本などの貿易パートナーには現在、トランプ大統領が4月9日に発動した一律10%の追加関税のみが課されている。これは90日間の交渉期間中の措置で、同月初めに発表されたより高い関税の適用は一時的に停止されている。

ややずれている

  ベッセント長官はFOMCが次回会合で政策金利を引き下げないのであれば、「9月にもっと大幅な利下げを実施することになるだろう」と述べた。

  同長官は経済専門局CNBCとのインタビューで「過去のFOMCモデルを見たが、それに基づけば金利はすでに引き下げられているはずだ」と述べた。

  これより先に行われたFOXビジネスとのインタビューでも、同長官はFOMCの金利判断に疑問を示し、2年物米国債利回りに鑑みれば政策金利は高過ぎると主張。「FOMCの判断は、ややずれているように思える」と述べた。

  同氏はこれまで、米金融当局に関するコメントは過去の政策に限定し、今後の判断に口出しはしないと語っていた。だがこの日は、「2年債利回りは、翌日物金利が高過ぎることを示唆している」との見解を繰り返した。

強いドル政策

  ベッセント長官はブルームバーグテレビジョンで、最近のドル相場下落が世界の基軸通貨としての地位を脅かしているとの見方を否定した。

  「ドルの価値は強いドル政策と何ら関係ない」と発言。「強いドル政策というのは、ドルが世界の準備通貨であり続けるために米国が長期的に必要な行動を十分に取っているかどうかが鍵を握る」と述べ、トランプ政権はまさにそのような行動を取っていると主張した。

  6月30日の外国為替市場ではドル指数が年初来で11%近く下げ、上期として1973年以来の大幅下落となった。関税政策が経済成長に与え得る打撃や、米国にマネーを流入させてきた同盟国に対するトランプ政権の強硬な外交姿勢などが、ドル下落の背景にある。

  「われわれは経済が成長する舞台を整えている」とベセント長官は共和党の税制歳出法案について述べた。「政府はインフレを抑制している。世界の資本にとって、米国を最適な投資先にしている。これは今後も続くだろう」と話した。

原題:Bessent: If the Fed Doesn’t Cut Now, Maybe Next Cut to Be Bigger(抜粋)

原題:Bessent Says Fed ‘A Little Off,’ Flags Signal From Two-Year Rate(抜粋)

原題:Bessent Rejects Worries Over Dollar Drop Diminishing Global Role(抜粋)

原題:Bessent Says Trump to Decide on Any Extension of July 9 Deadline(抜粋)

(FOMCの政策やドルについてのベッセント長官発言を加えます)

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