【現役ドラフト】大化けの可能性!巨人獲得の田中瑛斗は他球団からも“人気” 新庄監督が「スター候補」と認めた右腕

 出場機会に恵まれない選手を他球団が獲得する第3回「現役ドラフト」が9日、非公開でオンライン開催され、巨人は日本ハムから田中瑛斗投手(25)を獲得した。今季15勝してメジャー挑戦する菅野の穴を埋める先発候補の一人で、阿部慎之助監督(45)は「若くて将来性のある選手」と期待。多くの若手を開花させている日本ハムの新庄監督が能力を高く評価してきた右腕は、新天地での飛躍が期待される。巨人からは畠世周投手(30)が阪神に移籍する。

 宝の山から伸びしろ無限の本格派右腕が加入する。巨人が現役ドラフトで日本ハムの田中瑛を獲得した。関係者によると、最も多い獲得希望票を集めたのは日本ハムで、1番目の指名権を得た。指名が進む中、巨人は複数の球団が狙っていたとみられる田中瑛の獲得に成功。阿部監督は「若くて将来性のある選手。ジャイアンツ投手陣の一員として戦力になってくれればうれしいです」と期待した。

 高卒7年目の田中瑛はプロ入り後、右肘手術による育成契約などを経て着実に階段を上ってきた。5年目の22年に新庄監督から「スター候補の一人」と抜てきされ、プロ初勝利。今季は1軍では3登板のみだったが、2軍で金子千尋投手コーチの指導を受けて成長。150キロ超の速球、鋭く曲がるスライダー、スプリットに磨きをかけ、イースタン・リーグ46投球回で43奪三振、防御率2・35と飛躍の兆しを見せていた。

 同期入団の清宮は今季、7年目でチームの主軸に躍進。その他にも日本ハムは新庄監督が幅広くチャンスを与え、投手では金村、福島ら、野手では万波、田宮、水谷らがメキメキと眠れる才能を開花させた。ドラフト戦略も潜在能力を買う傾向が強く、田中瑛もその一人。ネクストブレイク候補と注目されていた。今季は6月14日の巨人戦(エスコン)で2回1失点。2軍の同カードでも力強い投球を見せ、巨人の編成担当も熱視線を送ってきた。

 巨人は今季15勝3敗でMVPに輝いた菅野が海外FA権を行使してメジャー移籍を目指している。戸郷、山崎伊、グリフィン、井上の4人に加え、菅野の穴をどう埋めていくかがリーグ連覇へ大きな課題。西舘、横川、又木、平内、伊藤らで競争となる見込みの若手先発陣に田中瑛が加わることで新たな刺激、活性化につながり、層が厚みを増す。

 この日、田中瑛は千葉・鎌ケ谷カントリークラブで開催された「2024 プロ野球12球団対抗ゴルフ」に日本ハム代表として出場してグロス95をマーク。その後に巨人への移籍が決まり、「新たな球団でしっかり結果を出し、ファイターズファンに新天地で活躍する姿を見せて恩返ししたいです」と決意を示した。

 巨人では22年の第1回現役ドラフトで楽天から移籍したオコエが今季、リーグ優勝に貢献。阪神に移籍するリリーフの畠に代わって獲得した先発候補の田中瑛も、環境を変えることで大化けする可能性を秘める。輝く原石が13年ぶり日本一を目指す阿部巨人の一員になる。(片岡 優帆)

 ◆田中 瑛斗(たなか・えいと)

 ▼生まれ 1999年7月13日、大分・中津市生まれ。25歳

 ▼サイズ 184センチ、84キロ。右投左打

 ▼球歴 小楠小2年で野球を始め、中津中では軟式野球部。柳ケ浦では2年秋からエース。17年ドラフト3位で日本ハム入団

 ▼故障歴 20年に右肘手術を受け、21年オフに育成再契約。22年7月に支配下復帰

 ▼球種 直球、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、カットボール、シュート

 ▼来季年俸 750万円。独身

 ▼将棋 趣味は将棋。球界最強将棋王を決める「球王決定戦」に出場する腕前。23年に巨人・丸に惜敗するなど2勝2敗だった

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