タイの連立政権が崩壊の危機-電話協議の内容流出で首相に辞任圧力

Patpicha Tanakasempipat

  • 連立政権第2党が離脱、ペートンタン首相の辞任求める声高まる
  • 海外投資家にも影響、主要株価指数は19日に一時2%を超える下げ

タイの連立政権が崩壊の危機に直面している。ペートンタン首相の電話協議の内容が流出し政治的混乱が深まったためだ。政権第2党「タイの誇り党」が離脱を決め、同首相の辞任を求める声が強まっている。

  ペートンタン首相はさらなる打撃を受ける可能性もある。連立政権に参加する政党のうち、少なくともさらに3党が19日に協議を行い、「タイの誇り党」に追随して離脱するかどうかを決める予定だ。

  「タイの誇り党」は連立離脱について、カンボジアのフン・セン前首相との電話の内容が流出し、政府と軍部の間の緊張が示唆され首相への信頼が損なわれたとしている。

  電話協議の中で、ペートンタン首相は国境紛争におけるタイ軍の役割を批判したように受け取られる発言をしていた。その後、同首相は緊張緩和を図る交渉戦略の一環だったと説明している。

  ノースカロライナ大学チャペルヒル校のアジア研究の名誉教授ケビン・ヒューイソン氏は「深刻な危機に直面している」とし、フン・セン氏によって「首相の立場は極めて厳しくなっている」と指摘した。

  今回の政治混乱は海外投資家にも影響を与える見通しだ。タイの主要株価指数は19日、一時2.4%下落。このままいけば、約5年ぶりの安値で取引を終えることになる。通貨バーツは対ドルで5営業日連続で売られ、4月28日以降で最長の下げ局面となっている。

  「タイの誇り党」の離脱で脆弱(ぜいじゃく)な連立政権が揺らいでいる。同党を失えば、連立政権は辛うじて過半数を維持する状態となり、重要法案の可決が困難になる可能性もある。

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原題:Thai Ruling Coalition on Brink After PM’s Leaked Phone Call (1)(抜粋)

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