【大河ドラマ べらぼう】誰袖役・福原遥さんインタビュー「呪いのシーンは苦しかった」「誰袖はかっこいい女性」「花魁役、はじめは緊張してガチガチに」

大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で誰袖を演じる福原遥さんにインタビューしました。愛する田沼意知(宮沢氷魚さん)を殺され、復讐心に燃えていた誰袖。第29回では、蔦屋重三郎(蔦重、横浜流星さん)が誰袖の笑顔を取り戻すため、新たな黄表紙をつくる様子が描かれました。ドラマチックな花魁の人生を演じる福原さんは、大河ドラマ初出演。時代劇もはじめての経験で、「緊張してガチガチでした」と語りました。

呪いのシーンは苦しかった

――ようやく吉原から出られて意知と幸せになれる寸前で、悲劇が訪れました。そのときの誰袖の心境をどう受け止めましたか。

福原さん:意知さんの死は衝撃すぎて、誰袖は受け入れられませんでした。佐野政言(矢本悠馬さん)やその家族を呪って藁人形を刺すのですが、あのシーンは演じていて苦しかったです。誰袖も意知さんの側に行こうとしますが、それもできず、悔しくてボロボロになっていました。

――29回では、誰袖の笑顔を取り戻すため、蔦重が楽しい本をつくってくれました。

福原さん:小さいころから蔦重は誰袖にとってお兄ちゃんのような存在で、いつも力になってくれました。今回も蔦重のおかげで少しずつ光が見えて、心が和らぎ、前に進んでもいいのかなと思えるようになりました。

――誰袖は子供のころから蔦重を慕っていました。身請けしてほしいとも言っていましたが、恋愛対象だったのですか?

福原さん:恋心というより、いつも側にいてくれる家族みたいな大事な存在という感じで、とにかく大好きで、彼がいたから誰袖はがんばれたのだと思います。

――意知に対しては、一目ぼれだったのでしょうか。

福原さん:はじめて会った瞬間から、「この人、好き!」という感じで、この人のことをもっと知りたい、一緒にいたいと。もちろん、身請けしてもらいたいという気持ちは子供のころからありましたが、相手が誰でもいいわけではなかったと思います。誰袖は直感で生きているので、出会ったとき、意知さんの人物そのものに惹かれたのだと思います。

――意知とのシーンで、どこが印象に残っていますか?

福原さん:膝枕のシーンです。はじめて意知さんの思いがわかり、愛情が伝わってきてすごく幸せなシーンでした。悲劇が訪れる前の幸せな時間は、ステキなものにしたかったので、二人が深い絆でつながっているところを表現できればと思って演じていました。

誰袖はかっこいい女性

――森下さんの描く誰袖を演じられて、いかがでしたか。

福原さん:森下さんの作品に出られるのが本当にうれしく、誰袖という魅力的な女性を演じられて幸せでした。森下さんの作品は、キャラクターひとりひとりに愛情が注がれていて、誰袖にも深い愛情が感じられ、楽しくお芝居させていただきました。誰袖は、毎回新たな面を見せてくれる役です。ステキでかわいくてかっこいい女性で、演じていてどんどん愛情が湧いてきました。

――誰袖のどこが一番ステキだと思いますか?

福原さん:生き方そのものです。天真爛漫で、まっすぐ突き進み、笑顔を絶やさず弱みを見せずに生きる姿がステキです。また、今までたくさん苦労してきたので、賢く考えて計算もしながら生きている姿もたくましいなと思います。

――強い女性ですね。

福原さん:意知さんにアプローチしても全然返ってこなくて、それでも負けずにアタックする姿もたくましく、また、「きちんと責だけは果たしておくんなんし」と意知に向って言うのも本当に肝が座っています。自分とは真逆なので、私も誰袖みたいなかっこいい女性になりたいな、と思いながら演じていました。

はじめは緊張してガチガチに

――はじめての大河ドラマで、時代劇も初挑戦で、しかも花魁役。役作りも大変だったと思います。

福原さん:自分に花魁ができるのかなと不安でした。所作の先生や監督などみなさんに教えていただきながら、言葉遣いや立ち居振る舞いで花魁の雰囲気を出せるように試行錯誤しました。はじめのほうは自然な仕草ができず、緊張してガチガチになっていたのですが、稽古をたくさんして動きもつかめるようになり、自然に表現できるようになりました。

――普段の福原さんが演じている役のイメージとは違い、誰袖は小悪魔的な部分もある女性でした。したたかさを出すため、どんなことを心掛けましたか。

福原さん:話し方や目線の動かし方を工夫し、ミステリアスな雰囲気を出せたらと思って演じていました。また、キセルの持ち方ひとつでも色気や雰囲気が出せるので、家にキセルを持ち帰らせてもらって何度も練習したり、普段の生活でも花魁の仕草を取り入れて過ごしていました。

横浜さんはお兄ちゃんみたい

――意知役の宮沢さんと共演されていかがでしたか。

福原さん:以前も共演させていただきましたが、柔らかくて優しい、穏やかな方です。はじめから緊張せず、お芝居や役のこともいろいろ話しながら演じられたので、ありがたかったです。

――横浜さんとは、現場でどんな話をされましたか。

福原さん:私がキセルをうまく扱えず、緊張してガチガチになっていたとき、「全然大丈夫だよ」と励ましてくださり、安心できました。誰袖と蔦重みたいな関係性で、本当にお兄ちゃんみたいでした。横浜さんも大変疲れていると思うのですが、いつも話しかけてくださったので感謝しています。

――大河ドラマ出演の経験は、俳優人生に生かされそうですか?

福原さん:大河ドラマも時代劇も出てみたかったので、一生の思い出になります。この経験すべてが学びでしたし、自分の力のなさも痛感しました。これからもっと勉強して、大河ドラマや時代劇にもまた出られるよう、力をつけたいです。

福原遥(ふくはら・はるか)さん 1998年生まれ。埼玉県出身。俳優、歌手、声優など幅広く活躍。主な出演作に、映画『4月の君、スピカ。』『羊とオオカミの恋と殺人』ドラマ10『正直不動産』など多数。連続テレビ小説『舞いあがれ!』ABEMAオリジナルドラマ『透明なわたしたち』『明日はもっと、いい日になる』では主演を務める。大河ドラマは初出演。

(ライター・田代わこ) <あわせて読みたい>

視聴に役立つ相関図↓はこちらから

関連記事: