日本のパスポート力、順位を落としたのはなぜ?(レコードチャイナ)|dメニューニュース

かつて「世界最強」と評された日本のパスポートが、最新「ヘンリーパスポートインデックス」で3位に後退した。

かつて「世界最強」と評された日本のパスポートが、最新「ヘンリーパスポートインデックス」で3位に後退した。数字が示すのは、国境政策と地政バランスのわずかな変化だ。

世界の「パスポート力」ランキング

各国パスポートの「自由度」を示す代表的指標が、英ヘンリー・アンド・パートナーズ社による「ヘンリーパスポートインデックス」だ。同社は国際航空運送協会(IATA)のTimaticデータを基に、査証なしで入国できる国・地域数を算出し、四半期ごとに発表している。

一方、カナダ拠点のアルトン・キャピタルが発表する「パスポートインデックス」は、電子査証(eVisa)や到着ビザ、電子渡航認証(eTA)も評価対象に含める点で異なる。そのため、順位がやや異なる場合がある。

日本の順位、3位に後退

10月発表の最新版によると、日本は順位を一つ下げ、3位(189の国・地域にビザなし渡航可)だった。1位はシンガポール(193カ国・地域)、2位は韓国(190カ国・地域)で、日本はそれに次ぐ位置にある。

日本のビザなし渡航国数が23年の192カ国から189カ国に減少した差分(3カ国)は、ヘンリー・アンド・パートナーズのレポートが示す「ビザ相互主義」の原則に基づき、主にブラジル、パプアニューギニア、ミャンマーなどが日本のパスポート保持者に対してビザ要件を新たに導入または変更したことが原因だと特定される。

とはいえ、依然として世界最高水準のパスポート信頼性を維持しており、「転落」というより高位安定の調整局面と見る方が適切だ。同インデックスが始まった06年当時、日本の順位は11位前後だった。この20年で、継続的に上位圏を維持している点は特筆に値する。

これに対し、米国の順位は12位(180カ国)。14年にトップを記録して以来、じわじわと順位を下げており、厳格化した入国管理政策の影響で、ビザなし渡航を認める国が減少したことが背景とされる。

パスポート保有率の低さは順位と無関係

興味深いのは、日本のパスポート保有率が先進国の中でも際立って低い点だ。外務省の有効旅券数を基にした推計では、25年時点で全国平均は約17%前後。東京都が最も高く約30%に達する一方、地方では1桁台の県も見られる。

年代別では、20〜40代が取得の中心層で、60代以上では1割未満にとどまる。背景には、円安や物価高による海外旅行コストの上昇、さらには少子高齢化による国内志向の強まりがある。

ただし、保有率や渡航意欲の低下はランキング順位に影響しない。ヘンリーパスポートインデックスは、あくまで「受け入れ国側の信頼度」に基づく国際的評価であり、個人の利用率とは直接関係がない。

中国のパスポートは20年で地位を上昇

過去20年で最も順位を伸ばした国の一つが中国だ。中国の順位は15年の94位から25年10月現在では64位へと30ランクも順位を上げた。査証なしで渡航できる国・地域の数はこの10年で37カ所増加し、現在は82カ国となっており、東南アジア諸国連合(ASEAN)との相互免除協定や中東諸国との外交改善が寄与したとみられている。

今後もアジア太平洋地域を中心に査証免除の拡大が進む見込みで、順位変動は続く可能性がある。パスポートの「強さ」は単なる旅行利便性を意味するのではなく、国際関係の現状を映し出す鏡であるといえそうだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

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