EUがロシア産ガス禁輸で合意、2027年末までに全面禁止-内陸国は例外

John Ainger

  • ロシア産LNGへの制裁も検討、米国産へのシフト進む
Photographer: Andrey Rudakov/Bloomberg

欧州連合(EU)のエネルギー相は20日、2027年末までにロシアからのガス輸入を全面的に禁止する方針で一致した。EUがロシア産エネルギーへの依存から完全に脱却する道筋が明確になった。

  ルクセンブルクで開かれた会合では、多数決によりこの措置が承認され、まず短期契約によるロシア産ガスの輸入を6月中旬までに停止する。その上で、18カ月後には長期契約も対象とする。ただ、ハンガリーやスロバキアといった内陸国には例外措置が認められる。両国は今回の禁止措置を支持しなかった。

  今回の合意は、EUがロシア産化石燃料からの恒久的な脱却を目指す「リパワーEU」計画の手続き上の一歩となる。今後は、ロシア産ガスからのより迅速な脱却や来年初めからの石油輸入停止を求める欧州議会との協議に入る予定で、年内の最終合意を目指す。

  2022年のプーチン大統領によるウクライナ侵攻以降、EUはロシア産化石燃料への依存を断ち切るため、2本柱の戦略を進めている。今回の措置とは別に、2027年初めからロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入に制裁を科す提案も検討されている。これには全会一致が必要で、議論が続いている。

  欧州はロシアとのエネルギー関係を断ち切り、米国産のLNGの購入を増やすよう、米国から圧力を受けている。こうした中、EUと米国の間で貿易に関する共同声明が出され、今後3年間でエネルギー分野において7500億ドル(約113兆円)相当の契約が締結される見通しとなった。

  EUは現在、LNG輸入の約15%をロシアから受けており、ロシアは米国に次ぐ2番目の供給国となっている。これらの輸入にかかる月間費用は、おおよそ5億-7億ユーロに上る。

  ヨーエンセン欧州委員(エネルギー担当)は20日の会合冒頭で「これは現在の紛争のためだけではない。未来のための決断だ。私たちは二度と同じ過ちを繰り返してはならない」と述べた。

原題:EU Nations Strike Deal to Ban Russian Gas by End of 2027 (3)(抜粋)

— 取材協力 Ewa Krukowska

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