「神風が吹いた」 旧統一教会関係者が打ち明ける解散総選挙

教祖・文鮮明氏の言葉を集めた「聖本」を手に取る元2世信者の男性=宮城裕也撮影

 2025年末、ある文書が物議を醸した。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の内部文書とされる「TM特別報告書」。約3200ページに及ぶ報告書には高市早苗首相を含む自民党議員に関する記述が多数あり、教団と政治家とのつながりが改めてクローズアップされた。

 しかし、8日投開票の衆院選で、旧統一教会問題への対応については与野党含めほとんど公約に盛り込まれておらず、論戦も盛り上がっていない。

 そんな状況に、教団関係者は言う。「神風が吹いた」と。

教団は政治家の「げたの雪」

 「教団が政治家との関係を切るなんて絶対無理です。結局は『踏まれても ついてゆきます げたの雪』なんですよ」

 元2世信者の40代の男性はそう言い切る。

 韓国の教団本部からの献金要請が相次いだ1990年代に入信した両親は13年ごろから目の色を変えて選挙運動に取り組むようになった。

 第2次安倍晋三政権の発足と重なる時期だ。

 両親は朝から自民の地元候補のポスターを張って回り、演説集会に何度も足を運んでいた。無断で息子である男性を候補の後援会に登録し、会報が届いたこともあった。

 「期日前投票に行きなさい」としつこく言われ、男性の友人にまで熱心に投票を呼びかけていた。

 22年の参院選の時は、比例代表で当選した自民の井上義行参院議員が信者の前で演説する映像を熱心にネットで視聴していた。

 父は「教会はこの人を推すことになっているから」と男性に語った。

 この選挙の応援遊説中に安倍氏が銃撃され、事件を機に、井上氏を含め過去に教団と接点があった議員が次々と判明した。

 男性は「これまで政治に興味を示さなかった両親が狂ったように『選挙』『自民党』と繰り返すようになった。あの熱の入りようは上からの指示がないとあり得ない。ほとぼりが冷めれば(教団は)政治家に再びアプローチするのではないか」と懸念する。

逆風にさらされた教団

 安倍氏銃撃事件後、教団は逆風にさらされた。違法な献金問題などが注目され、岸田文雄首相(当時)が教団との「関係断絶」を宣言。文部科学省が解散命令請求に踏み切り、25年3月に東京地裁が解散を命じた。

 韓国では、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領側に金品を贈ったとして、教団トップの韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁が政治資金法違反容疑などで逮捕され、10月に起訴された。

 その捜査の過程で存在が明らかになったのがTM特別報告書だった。

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