憲法改正草案で「基本的人権が削除」…それって本当?(2026年2月6日掲載)|日テレNEWS NNN

衆議院選挙の投票日が近づく中、自民党の憲法改正草案で「基本的人権が削除される」とするSNSでの投稿が拡散されています。実際には、基本的人権を規定する条文は残っていて、不正確な投稿です。

Xでは「今回の選挙って、『憲法改正してもいいですか』を問う解散だったんですね」と記した投稿に対し、「自民党の改憲草案をご覧になってみてください。公開しているので。私は拷問やろうとしているところとか、基本的人権削除しようとしてるのとかすごいなあと思いました!」などとする投稿がありました。

このように、自民党の改憲草案で、最高法規として基本的人権を規定する97条が削除されていることを例に「基本的人権が完全になくなる」「基本的人権を削除している」などとする投稿が拡散され、100万回以上閲覧された投稿が複数みられます。

現行の憲法では、97条に加えて11条でも国民の権利および義務として基本的人権を規定しています。自民党が2012年に公表した改憲草案では、97条が削除されています。一方で11条は改めて次のように基本的人権を規定しています。「国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である」。11条の変更や97条の削除の理由について自民党は、「人権は神から人間に与えられるという西欧の天賦人権思想に基づいたと考えられる表現を改めた。97条の削除は現行憲法11条と内容的に重複していると考えたためであり、『人権が生まれながらにして当然に有するものである』ことを否定したものではない」などとしています。つまり自民党の改憲草案では、現行憲法で基本的人権を規定する2つの条文のうち97条を削除したものの、11条が残っています。自民党は改憲の草案について「この文書は当時の議論の総括であり、党の公約や憲法審査会への提示は行っておりません」と説明していて、今回の衆院選の公約として位置づけていません。改憲をめぐる公約では「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理は今後とも堅持し、国民の幅広い理解を得て、憲法改正への取り組みをさらに強化します」と記しています。このため「基本的人権が削除される」とするのは「不正確」だと言えます。【参考】■現行憲法(第11条)国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。(第97条)この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。■自民党憲法改正草案(第11条)国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である(97条)… 削除   ◇

今回のファクトチェックは日本新聞協会に加盟する日本テレビ、佐賀新聞社、読売新聞社、時事通信社の有志4社が共同で行いました。

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