人型ロボット、北京でマラソン「初出場」 人間と並走も完敗
[北京 19日 ロイター] - 中国の北京・亦荘で19日に開かれたハーフマラソン大会に、数千人のランナーに加え21体の人型ロボットが参加した。中国では人型ロボットが昨年からマラソン大会に登場しているが、人間と一緒に走るのは今回が初めて。
参加したドロイドUPやノエティックス・ロボティクスといった中国メーカーが手がけたロボットは、身長が120センチ未満から180センチまで多岐にわたり、形状も大きさもさまざま。ある企業は自社のロボットが女性的な特色を持ち、ウィンクしたり、笑みを浮かべたりできるなどとアピールした。
大会に備えて数週間前からロボットの試験を行う企業もあり、中国政府の関係者はエンジニアリングとナビゲーションに当たるチームが必要なためレーシングカーの競技に似ていると指摘した。
人工知能(AI)関連の仕事をしているというある観客は「ロボットはとてもよく走り、安定している。ロボットとAIの進化の瞬間を目の当たりにしていると感じる」と語った。
中国の北京・亦荘で19日に開かれたハーフマラソン大会に、数千人のランナーに加え21体の人型ロボットが参加した(2025年 ロイター/Tingshu Wang)
優勝したロボットは北京人形機器人創新中心(北京人型ロボットイノベーションセンター)の「天工ウルトラ」で、2時間40分で完走した。一方、人間の男子部門の優勝タイムは1時間2分だった。
北京人形機器の株式43%は2つの国有企業が持ち、残りはIT大手の小米科技(シャオミ)のロボット部門と中国の大手人型ロボット企業UBテックが保有している。
北京人形機器の唐剣・最高技術責任者(CTO)は、天工ウルトラが長い脚と、人間がマラソンを走る方法を模倣するアルゴリズムを持っているとし、「西側諸国のロボット企業で天工ウルトラのスポーツの成績と張り合えるところはないと思う」と強調し、競技中に電池を交換したのは3回だけだったと述べた。
中国は、ロボット工学のようなベンチャー企業への投資が経済成長の新たな原動力になると期待しているが、一部のアナリストはマラソン大会に出場することがロボット産業の可能性を示す信頼性の指標になるのかを疑問視している。
米オレゴン州立大でコンピューターサイエンスとAI、ロボット工学を教えているアラン・ファーン教授は、人型ロボットの走行を可能にするソフトウエアは5年超前に開発され、実証されてきたと指摘。「一般的にこれらのデモンストレーションは興味深いものの、有用な作業や基本的な知能の実用性はあまり示していない」と述べた。
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