ベッセント次期米財務長官、指名承認後にヘッジファンド持ち分売却へ
トランプ次期米大統領に財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏は、上院で指名が承認された場合、利益相反を避けるためにマクロヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループの役職を辞し、持ち分を売却する予定だ。
政府倫理局が公表した文書によると、ベッセント氏は指名承認後にキー・スクエアを直ちに退社する予定。自身が設立し経営してきた同社の持ち分を上院承認から90日以内に売却する。
米政府の高官は上院による承認前に、保有資産を開示し利益相反の恐れがある資産については売却計画を示すことが義務付けられている。ベッセント氏の上院指名承認公聴会は16日に設定された。
政府倫理局が11日に公表したベッセント氏の個人資産公開報告書によると、同氏の保有資産の価値は少なくとも5億2100万ドル(約822億円)。報告書では金額の項目が最大で「5000万ドル超」となっているため、実際のポートフォリオ価値がそれを大幅に上回ることはほぼ確実だ。
ベッセント氏が最上位に記載した9つの資産は、いずれも同氏率いるヘッジファンドに関連する。その中には米財務省短期証券のトランシュ2つ、インベスコのファンド2つ、他の通貨に対するドルのオープンポジションが含まれる。
また、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格に連動するiシェアーズの上場投資信託(ETF)への50万ドル以下の個人投資も含まれた。キー・スクエアを通じて保有している資産と同様に、暗号資産ETFも売却する予定。報告書によると、キー・スクエアは3月末までに解散する予定となっている。
ベッセント氏は財務長官として、トランプ氏の税制計画やデジタル資産規制など、あらゆる面で重要な役割を担うことになる。米通貨政策の再調整を提唱する同氏は、あからさまなドル安戦略を支持するまでには至っていない。トランプ氏は、政権1期目にドル高が米製造業者にとって不利に働いていると主張していた。
ベッセント氏の潜在的な利益相反の一部は、解消までに時間がかかる。同氏は四半期ごとに引き出せる額が保有資産の25%に制限されているファンド3本に少なくとも25万ドルを投資している。9月下旬までは完全に売却することができず、一般的な90日間の開示期間よりもはるかに長くなる。同氏は、保有資産の価値に予測可能な影響を与え得る決定には関与しないとしている。
ベッセント氏の開示資産には、バハマにある少なくとも500万ドル相当の住宅用不動産や、少なくとも100万ドル相当の美術品・骨董(こっとう)品コレクションも含まれる。
政府の要職に就く前に利益相反回避で資産売却を求められる場合、売却から60日以内に売却益を財務省証券や投資対象が広いミューチュアルファンドに投資すれば、キャピタルゲイン課税は免除される。
原題:Bessent to Sell Hedge Fund Stake If Confirmed to Lead Treasury(抜粋)