エヌビディア決算、読めない中国売上高が波乱要因か-予想大きく乖離

27日引け後に発表されるエヌビディア決算では、中国の売上高見通しが大きな注目点となりそうだ。

  中国向けのエヌビディア製品については、米国の輸出規制が一貫しておらず、ウォール街では見通しを巡って混乱が生じている。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、8-10月(第3四半期)の売上高見通しを巡っては、予想レンジの上限と下限の差が約150億ドル(約2兆2200億円)に達しており、第2四半期の予想レンジの2倍、比率では少なくとも過去10年余りで最大の乖離(かいり)となっている。

  背景には、米中の政策を巡る不透明感がある。トランプ大統領は4月、エヌビディアの中国向け人工知能(AI)半導体「H20」を対中輸出規制の対象に追加。だが、今月に入り、売上高の15%を米政府に収めることを条件に、輸出禁止措置を解除した。

  だがその後、中国政府は国内企業に対して、H20の使用を控えるよう求めているとされる。

  ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントの株式ポートフォリオマネジャー、マット・スタッキー氏は「決算発表を控え、状況は複雑さを増している」と指摘。「中国の売上高が何らかの形で業績見通しに含まれるかどうか、またそれが市場予想と一致するかどうかが最大の不確定要因だとみている」と述べた。

  エヌビディアの中国売上高を巡るこうした不透明感は、ウォール街のアナリストにとって頭痛の種となっている。例えば、サスケハナのアナリスト、クリストファー・ローランド氏は、H20の対中売上高を自身の分析モデルに再び組み入れることを拒否している。一方で、UBSのティモシー・アーキュリ氏は、これを織り込めば、エヌビディアの売上高見通しが最大30億ドル押し上げられる可能性があると分析している。

  半導体メーカーの対中エクスポージャーを巡って、投資家はすでに神経質になっている。数週間前には、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が中国事業に関する明確な見通しを示せなかったことで、株価が急落した

  今回の決算発表でエヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が中国についてどう語るかも注目だ。特に、H20に代わる可能性がある「B30」の開発状況が関心を集めている。もっとも、中国売上高がエヌビディアにとって最大のテーマではない。中国以外の市場における先端AIチップ「ブラックウェル」の需要は非常に強いため、中国からの貢献が全くなくても同社が予想を上回る可能性はある。

原題:Nvidia Investors Grapple With China Risks Ahead of Earnings(抜粋)

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