福井駅前…ミニエと片町で新幹線効果に濃淡 商店街への回遊率アップも道半ば
日本観光振興協会の「デジタル観光統計オープンデータ」によると、2024年の福井県福井市の観光来訪者数は135万人を超えた。23年に比べ25万人増えており、北陸新幹線県内開業が、市の人口と同規模の誘客効果につながった形だ。新幹線福井駅舎東側に新設されたふくい観光案内所は、市のまとめで1月末までに延べ5万人以上が利用し、養浩館庭園をはじめ、まちなかの公共施設の入り込みも2割ほど増えたとみている。
鉄道事業者や旅行会社のキャンペーンなど期間によって波はあるものの堅調な観光来訪者の伸びに対し、飲食や小売りなど消費効果波及には濃淡が見られる。
新幹線延伸に合わせてオープンした福井駅西口の再開発エリア「FUKUMACHI BLOCK(フクマチブロック)」。フードホール「MINIE(ミニエ)」は週末の夜、飲食を楽しむ会社員や観光客らでにぎわう。地元店主の1人は「初年度の勢いを今後につなげたい」と期待する。
一方、10分ほど足を伸ばした先の繁華街「片町」の店主からは「客足が増えたのは有名店など一部だけ」との嘆きが聞かれる。中心市街地のエリアマネジメントを担うまちづくり福井の担当者は「駅周辺の人流が市街地全体に波及していない」と指摘する。
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福井駅高架下の商業施設「くるふ福井駅」を運営する金沢ターミナル開発の川岸宏樹福井支店長は「売り上げ、来館者数とも目標を1、2割ほど上回る状況」と説明する。
1月に累計来館者1千万人を超え、想定以上のペースという。観光客だけでなく地元客に繰り返し利用してもらえるようポップアップストア(期間限定店舗)などで目新しさも取り入れる。施設としての工夫に加え、「駅周辺が地元にとって魅力的なエリアになることが大切」と一帯での盛り上げの重要性を強調する。
新幹線開業1年の節目を迎え、まちづくり福井は、駅周辺のエリア全体を「お出かけ」の目的地にしてもらい回遊性を高めようと、大型の商業施設だけでなく、小規模店などを含めた「横の連携」による販促活動や魅力発信を目指す。
⇒開業から1年、「フクマチブロック」の今 ホテルや商業店舗、マンション…新幹線効果でにぎわい
かつてまちなかのにぎわい創出を担った商店街は、ライフスタイルの変化や店主の高齢化などを背景に加盟店が減少傾向で、商店街や店舗の独自の販促やイベントには限界がある。
まちづくり福井は本年度、くるふ福井駅やフクマチブロック、西武福井店、ハピリンなど大型施設の共同販促を展開。新年度には小規模店も含めて組織化し、人流が波及していないエリアでも新たな販促やにぎわいの仕掛けづくりに取り組む計画だ。回遊性の向上に向けて、表面に各施設のアピールポイントを掲載し、裏面には2、3時間程度で巡るルートを紹介した地図を作成。福井駅や観光案内所などで3月中に配布を始める。
市内の観光来訪者数は24年4~6月が前年同期比25%増に対し、11月~25年1月は同14%増と落ち着きつつある。一方で、駅周辺では今後も再開発が進み、新たなホテルなども整備される。ミニエ運営室の日置智啓館長は「再開発で人流はさらに変わる。各店が魅力を磨きつつ、まち全体として連携すれば、まだまだ広がる伸びしろがある」と力を込めた。
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