中国の人民元安定化策、逆回転のリスク-ボラティリティー急拡大も

Bloomberg News

  • 人民元のパフォーマンス向上、輸出企業の競争力弱める
  • 1ドル=7.3元を超える元安進行-「レッドライン」破られる

中国が本土市場の人民元相場を厳格にコントロールしてきたことが、予期せぬ副作用をもたらしている。

  ブルームバーグの中国外国為替取引システム(CFETS)指数トラッカーによると、人民元は韓国ウォンやユーロを含む貿易相手国の通貨バスケットに対して、2022年10月以来の高値水準まで値上がりし、中国輸出企業の競争力を弱めた。

  人民元のパフォーマンス向上は、ドルの反発局面で中国人民銀行(中央銀行)が昨年12月以降に1ドル=7.3元をオンショア人民元の下限として相場を誘導してきたことによる。

  中国の積極的な通貨防衛は元建て資産や元安の影響を受けやすいアジア通貨にとっては良い兆しだが、すでにトランプ次期米大統領による関税引き上げの脅威に直面している輸出企業には落とし穴だ。利益の低迷につながり、本格回復を妨げる可能性がある。

  越えてはならないとする一線「レッドライン」を引くような為替水準を設定して、厳格な外国為替管理を採用することも論争を呼んだ。人為的な相場安定は将来的にボラティリティーの急拡大を招く恐れもある。

  中国の元支援策にもかかわらず、人民元は3日の本土市場で23年後半以来の1ドル=7.3元を超える元安となった。

  ストーンXファイナンシャルの通貨トレーダー、呉明賾氏は、「いったんその水準を割り込むとその後はボラティリティーが急激に高まるだろう」と指摘。人民元は米政策金利見通しの不透明さやトランプ氏の関税政策、中国経済のリスク長期化で引き続き圧力を受けているとの見方を示した。

  中国金融市場では株価が下落する一方、安全な資産と見なされる国債が買われ続けており、中国国債は米国債を大きく下回る利回り水準となっている。こうした米中利回り格差の拡大も人民元相場を圧迫している。

原題:China Hurts Its Exporters by Keeping Yuan Strong Versus PeersYuan’s Rally Versus Peers Suggests China’s Defense Can Backfire(抜粋)

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