台湾の食用油問題、対象製品401品目に拡大 即席麺や冷凍食品、外食チェーンにも影響
台湾の食用油受託製造大手「中聯油脂(Central Union Oil Corp.)」が供給した大豆サラダ油原料から、基準値を超える発がん性物質ベンゾピレン(BaP)が検出された問題で、影響を受ける製品が401品目に拡大した。
台湾の衛生福利部食品薬物管理署(食薬署)と台中市の食品安全当局によると、問題の原料は約1300トンに上り、食品メーカー、加工工場、ホテル、外食チェーン、スーパーなど広範囲に影響が及んでいる。
食薬署は7月5日、影響を受けた257社のリストを公表。6日には、対象の油を使用していた業者が360社に拡大したと発表し、販売停止や回収、予防的な販売停止を求めた。7日夜には第1弾として232品目の製品リストを公表し、8日には新たに169品目が追加され、対象製品は計401品目となった。
主管機関はすでに中聯油脂の対象製造ラインに即時停止を命じている。業者による回収逃れや隠蔽、販売停止の不徹底が確認された場合、食品安全衛生管理法に基づき、最高300万台湾ドル(約1519万円)の罰金が科される可能性がある。
ベンゾピレンとは何か
食薬署によると、中聯油脂は7月1日、福寿実業、福懋油脂、泰山企業などに供給した大豆サラダ油原料約1300トンについて、自主検査の結果、ベンゾピレンの含有量が法定基準を超えていたと通報した。
台北市政府衛生局は、ベンゾピレンについて、多環芳香族炭化水素(PAHs)の一種で、食品の加工過程で生成されるほか、環境汚染によって食品に含まれることもあると説明している。台湾の「食品中の汚染物質および毒素の衛生基準」では、食用油脂に含まれるベンゾピレンの上限を2µg/kgと定めている。
ベンゾピレンは、国際がん研究機関(IARC)が「グループ1」に分類する発がん性物質である。
対象製品401品目に拡大 泰山、味王、ルイーザなども対象に
食薬署によると、泰山企業は7日深夜、今回の問題とは別に新たな対象製品を報告した。対象は「泰山好理調和油0.6L」(賞味期限:2027年7月25日)で、ベンゾピレンが基準値2.0µg/kgを上回る2.5µg/kg検出された。同製品は996箱(0.6L×24本入り)が製造され、うち642箱がすでに出荷、354箱が在庫として残っていた。
このほか、金色三麦(Le Blé d'Or)のチャウダーや海鮮鍋など6品目、老協珍の「TOMMI湯米 白ソースたらフライのライスバーガー」と「TOMMI湯米 海鮮えびカツのライスバーガー」の2品目も対象となった。
コンビニ向け食品を製造する屏栄食品新豊工場の「中華風肉団子の醤油煮込み」「鶏肉の甘酢炒め」「鉄板とろ卵カツ丼」など14品目もリストに加えられている。
中聯油脂のベンゾピレン基準値超過問題を巡り、食薬署は7月8日、対象となる401品目のリストを公表した。【完全版リストはこちら】
コンビニ向け商品や有名店コラボ商品にも影響
食薬署は7日夜、第1弾として232品目のリストを公表し、43.278トンを回収した。その中には、聯華食品工業がコンビニ向けに受託製造した食品約80品目も含まれていた。
対象には、「林聡明鶏肉飯おにぎり」「阜杭豆漿クラシックおにぎり」「富錦樹(フージンツリー)ピリ辛エビの卵とじ丼」「石安牧場半熟卵おにぎり」「豪華秘伝ダブル盛り弁当」などが含まれる。
衛生福利部の石崇良部長は、対象原料の含有量が20%以下の製品175品目についても、予防的措置として全面的に販売を停止し、7月8日午前0時までに店頭から撤去するよう求めた。
学校給食にも波及 4市で165校が影響
食薬署は7月5日、影響を受けた257社の業者リストを公表し、業者に対して問題の油の使用を停止し、規定に従って対応するよう求めた。
消費者に対しては、すでに対象製品を購入している場合、業者の告知や地方衛生局の情報を確認し、指示に従って返品・交換手続きを行うか、カスタマーサポートに問い合わせるよう呼びかけている。
味王の即席麺8品目も回収対象に
雲林県衛生局が7月3日に下流業者を立ち入り検査した結果、食品大手「味王」の雲林大埤工場が、福懋油脂から問題ロットの「益康大豆サラダ油(18kg入り)」を120缶、計約2160kg購入していたことが確認された。
同油はすでに味王の即席麺8品目の調味油として使用されており、影響数量は2万5000箱以上に上る。このうち1万9902箱はすでに市場に流通していた。
味王は福懋の大豆油製品の使用を全面的に停止し、関連する半製品と完成品の出荷を一時停止すると発表した。
対象となる「味王」の即席麺は、「原汁牛肉湯麺」「紅焼牛肉湯麺」「金味王紅焼牛肉麺」「十三香麻辣拌麺」「辣辣麻辣燙湯麺」「辣辣海鮮湯麺」「素食麺」「燻香素鶏湯麺」の8品目。
袋入り、カップ入り、大型カップ入りなどが含まれる。
桂冠のサラダソース、愛買の冷凍食品にも影響
桂冠実業は7月2日夜に通知を受けた後、内部調査を開始し、特定ロットの桂冠サラダソースについて回収と返品・交換対応を行うと発表した。
対象は、桂冠のサラダソース100g、200g、500gで、賞味期限が2026年7月8日から7月15日までのもの。
購入を証明できるもの、または製品パッケージを持参すれば、購入店舗で返金または交換できる。
大手スーパーの愛買(a.mart)は、7月1日の時点で泰山の対象食用油3品目を予防的に販売停止したと説明している。2026年4月から6月に対象製品を購入した消費者は、レシートなどの購入証明を持参すれば、購入店舗で返品できる。受付期間は9月30日まで。
愛買が公表した販売停止リストには、味王の即席麺8品目、桂冠と健康厨房のサラダソース、広達香のふりかけ、冷凍水餃子、焼きおにぎり、チャーハン、パスタなど計26品目が含まれる。具体的な返品条件や手続きは、各製造メーカーの基準に従う。
● 対象となった味王の即席麺は、「味王原汁牛肉袋麺82g×5」「味王素食袋麺82g×5」「味王紅焼牛肉湯麺83g×5」「味王十三香麻辣拌麺88g×5」「味王強強滾辣辣海鮮湯麺88g×4」「味王強強滾辣辣麻辣燙湯麺88g×4」「味王紅焼牛肉カップ麺85g×3」「味王蔬活燻香素鶏湯麺92g」の8品目。
● サラダソース類では、「桂冠大サラダ500g」「桂冠小サラダ100g」「桂冠中サラダ200g」「健康厨房クラシックシーザーサラダドレッシング」「健康厨房繊活ヨーグルトサラダドレッシング」が対象となった。ふりかけでは、「広達香ベジタリアンふりかけ・海苔ごま150g」が含まれる。
● 冷凍水餃子や米飯・麺類では、「葱阿伯・優選水餃子キャベツ豚肉」「葱阿伯・優選水餃子青ネギ豚肉」「葱阿伯・優選水餃子ニラ豚肉」の3品目が対象となり、いずれも賞味期限は2027年4月8日。さらに、「荷卡・炙り明太子鮭焼きおにぎり105g×2」(対象賞味期限:2027年4月9日)、「達人上菜・豚肉キャベツ手包み水餃子」「達人上菜・豚肉コーン手包み水餃子」「好姨食堂・冷凍キャベツ豚肉調理済み水餃子」「好姨食堂・冷凍ニラ豚肉調理済み水餃子」も対象に含まれる。
● このほか、卜蜂の「鶏肉コーン卵チャーハン」「豚肉細切り卵チャーハン」「ベーコン卵チャーハン」「トマトソースパスタ」も販売停止リストに入っている。
問題の油は30ロットに拡大 泰山・福寿・福懋の対象品目
ロット:C2150426O、C2150426P(賞味期限:2027年4月14日)/C2160426O、C2160426P(賞味期限:2027年4月15日)
健味香油 3L ロット:BL15426L(賞味期限:2028年4月5日) 益康大豆サラダ油 18L ロット:20270411000408(賞味期限:2027年4月11日) 益康大豆サラダ油 18kg ロット:20270413000408(賞味期限:2027年4月13日) 益康調理油 18L ロット:20270413000403(賞味期限:2027年4月13日、2027年4月14日) 一級大豆油(バルク)出荷期間:2026年4月8〜10日/ロット:202604091315(賞味期限:2026年10月4日)
主なブランド・販売チャネルの返品・返金方法
返品・返金方法は各社・各販売チャネルで異なる。主な対応は以下の通り。
外食チェーンやホテルにも波及
王品(WOWPRIME)グループでは、台湾南部の18店舗で提供されていた「青麻椒鍋底」と、万鮮ブランドの市販用瓶入り「沙茶醤」に問題のサラダ油が使われていたことが確認され、すでに販売停止となっている。対象店舗には、高雄市や屏東県の西堤、陶板屋、和牛涮、聚、品田牧場、莆田、享鴨、芸奇などが含まれる。
台湾卜蜂では、パスタやチャーハンなど計56品目の加工食品に問題の油が使用されており、各販売チャネルに通知して販売停止を進めている。
聯華食品では、冷凍商品「荷卡 炙り明太子鮭焼きおにぎり」と「荷卡 極上クラシックおにぎり」の2品目が対象となり、販売停止となった。一方で、「可楽果」「万歳牌」「元本山」「卡迪那」「満天星」などのシリーズには、問題の油は使用されていないとしている。
老協珍、金色三麦、ルイーザコーヒーも一部商品で影響を受けた。晶華国際ホテル(リージェント・タイペイ)は、問題の油は従業員食堂でのみ使用され、一般向けレストランには影響がないと説明している。争鮮(Sushi Express)は、店舗や在庫に関連する油はないと説明し、今後は供給業者を変更する方針を示した。
また、南亜塑膠(ナンヤ・プラスチックス)が福懋油脂から購入したバルク油5万kgについては、プラスチック可塑剤や熱安定剤に使われる工業原料「エポキシ化大豆油(ESO)」の製造用であり、食用ではないため食品安全上の懸念はないと雲林県衛生局が説明している。