トルコ資産がトリプル安-エルドアン大統領の政敵が拘束される

19日の取引でトルコ資産がトリプル安となった。エルドアン大統領の主要な対立者候補であるイマモール・イスタンブール市長が同日午前に拘束され、同国の最近の投資家寄りの経済政策が後退するのではないかという懸念が高まった。

  リラが過去最安値を更新した後、国営金融機関が約80億ドル(約1兆2000億円)のドル売りでリラを支えたと、事情に詳しい関係者が述べた。

  中央銀行当局者はブルームバーグに対し、19日に80億-90億ドルを売却し市場の変動を最小限に抑えたと語った。匿名を条件に語った当局者は「為替市場の動向を注視しており、必要と判断した場合には変動に対して介入する」と述べた。

  トルコ株は急落し、2度にわたって取引停止措置が取られた。投資家がトルコ国債を投げ売りし、利回りは急上昇した。

  最大都市イスタンブールの市長であるイマモール氏は自宅で拘束された。トルコ資産への投資には不確実性が伴うことがあらためて印象づけられた。

  マネックス・ヨーロッパのマクロリサーチ責任者、ニック・リース氏は「これはシステムにとって少々ショックだ。少なくとも最近では、経済であれ政治であれ、より安定に向かう傾向があった」とトルコについて述べた。

  「しかし、野党の政治指導者の大量逮捕はその傾向に逆行するものだ。市場はどんどん楽観的になっていたが、魔法が解け、トルコの政治リスクプレミアムがトレーダーによって再評価されたことで劇的な結果になった」と続けた。

  トルコ当局は野党関係者に対する取り締まりを拡大させており、不正行為、収賄、犯罪組織運営などに関する捜査に絡み拘束された人は100人以上に上る。

  シムシェキ財務相は投資家を安心させようとし、政府の経済政策は変わらないと強調。「われわれが実施してきた経済プログラムを断固として継続する」とソーシャルメディアX(旧ツイッター)でコメントした。

  リラは一時10%以上下落し1ドル=40リラを超えるリラ安水準となった。イスタンブール時間午後0時45分時点は5.5%安の1ドル=38.8565リラ。

  イスタンブール100指数は取引開始時に7%近く下落しサーキットブレーカーが発動され、取引再開後に再び7%の下落で取引停止。取引はその後再開されたがなお下落している。

  10年物国債利回りは139ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の29.58%となった。

  前日にはイマモール氏の大学の学位が取り消され、次期大統領選で現職のエルドアン大統領に挑戦することができなくなる恐れが浮上した。

  トルコ国内で高い人気のある政治家の一人であるイマモール氏は、エルドアン大統領の主要な政治的ライバルで、次期大統領選の最有力候補の一角と広く考えられている。

  昨年のイスタンブール市長選では、エルドアン氏が推す候補を破っており、23日には主要野党・共和人民党(CHP)の次期大統領候補に指名される方向にもなっていた。

  イマモール氏(54)は自宅で治安部隊の捜索を受けたとし、当局が政治目的で警察を利用していると非難した。自身のチームによって共有されたボイスメッセージで明らかにした。

  イスタンブール知事府はデモや抗議活動を4日間禁止し、イマモール氏が連行される可能性が高い警察署周辺の複数の道路を閉鎖した。この制限により、22日に予定されていた野党の集会が実施されるかどうかは疑わしい。イマモール氏はそこで大統領選出馬の足場を固める予定だった。

  次期大統領選は2028年に予定されているが、前倒しで実施される可能性がある。

原題:*TURKISH MAIN STOCK INDEX DOWN 7% AS TRADING RESTARTS、Turkish Stocks Plummet, Trigger Fresh Market-Wide Halt、Turkey Central Bank ‘Closely Monitoring’ FX Markets: Official、Turkish Markets Nosedive After Erdogan’s Main Rival DetainedTurkey Detains Erdogan’s Main Rival in Widening Crackdown (1)(抜粋)

(中銀当局者のコメントや2回目の株取引停止について追加します)

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