トランプ大統領、米軍がベネズエラからの麻薬船を攻撃したと発表

トランプ米大統領は2日、ベネズエラから麻薬を運んでいたとされるボートを米軍が攻撃し、「テロリスト」11人を殺害したと明らかにした。麻薬密売に歯止めをかける目的でカリブ海に軍艦を配備したことが奏功したとアピールした。 

  トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で「攻撃は、テロリストらが違法薬物を積んで国際海域を航行中、米国に向かっていた際に実施された」と指摘。「米国に麻薬を持ち込もうと考えている者は、この件を警告として受け取るべきだ。気を付けろ!」と強調した。

  トランプ氏は今回の標的について「トレン・デ・アラグアという麻薬テロ組織であると確認されていた」と主張している。

  米政府は数週間前にカリブ海に複数隻の軍艦および数千人規模の部隊を配備。ベネズエラのマドゥロ政権は米国が侵略を計画していると、非難している。トランプ氏の発言はベネズエラへの圧力が新たな段階に入ったことを示唆する。

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  トランプ氏によると、米国人に負傷者はいない。ヘグセス国防長官は「非機密扱い」と記された映像を投稿。映像には、4基の船外機を備え、高速で走行するボートがミサイル攻撃を受けて炎上する様子が映っている。トランプ氏はボートが国際海域を米国に向かって走行していたと主張しているが、映像ではどの海域なのか確認できない。

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— Pete Hegseth (@PeteHegseth) September 2, 2025

  これに先立ち、トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団を前に「つい数分前に米国は大量の麻薬を積んだボートを文字通り攻撃し、排除した」と発言。「これらはベネズエラからやってくる。ベネズエラから大量に送られる。いろんなものがベネズエラからやってくる。だからわれわれは排除した。この会見後にその様子が分かるだろう」と述べた。

  トランプ氏による発言の直後、ルビオ国務長官はソーシャルメディアへの投稿で、カリブ海南部で指定麻薬テロ組織の麻薬船を標的に、米軍が「殺傷力のある」攻撃を行ったと述べた。

  ベネズエラの情報省にコメントを求めたが、現時点で返答はない。

  米国防総省は強襲揚陸艦「イオージマ」を中心とする艦隊編成と上陸攻撃能力を有する第22海兵遠征部隊を派遣しており、通常の麻薬取り締まりに用いられる沿岸警備隊のカッター艦よりも、はるかに高い攻撃能力を持つ配備となっている。

  1989年に米軍が実行したパナマ侵攻以来となる大規模な軍備増強は、中南米諸国を二分している。ブラジルのルラ大統領とコロンビアのペトロ大統領はいずれも、安定を揺るがす行為として米国を批判。一方でガイアナとトリニダード・トバゴは麻薬密輸への懸念を理由に支持を表明した。中国とロシア、イランは干渉行為だとして非難している。

  トランプ氏は今年、マドゥロ大統領をテロリストに指名し、その拘束に5000万ドル(約74億円)の報奨金を用意した。

原題:Trump Says Military Hit Boat Carrying Drugs From Venezuela (3)(抜粋)

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