【米国市況】株は4日続伸、ハイテクが主導-円は一時144円03銭
25日の米株式相場は4日続伸。トランプ米大統領の通商交渉の進展状況を巡り相反する情報が流れたものの、最も影響力のあるハイテクセクターの上昇が相場全体を押し上げた。
株式 終値 前営業日比 変化率 S&P500種株価指数 5525.21 40.44 0.74% ダウ工業株30種平均 40113.50 20.10 0.05% ナスダック総合指数 17382.94 216.90 1.26%S&P500種株価指数は1月以降で最長の上昇局面となり、節目の5500を上回った。テスラは9.8%高、アルファベットも堅調な業績を受けて上昇した。トランプ大統領の発言が伝わると、株式相場は上値が重くなる場面もあった。大統領は、上乗せ関税適用の猶予期間を再度延長する可能性は低いとの考えを示し、中国側が「何か実質的なもの」を代わりに提示しない限り、米国は関税を引き下げないと述べた。
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ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「相場はすばらしい回復を遂げた」と指摘。「2008年や2020年のような危機への懸念は薄れつつあるが、過去最高値への回復は容易ではない。市場は底堅さを示しているが、関税の不確実性や経済減速の兆候といった同じような問題が続いている」と述べた。
関税による経済への悪影響に対する懸念を背景に、米消費者のセンチメントは記録的な低水準に低下。長期のインフレ期待は1991年以来の高水準に達した。
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中国政府は米国に対する125%の報復関税を巡り、米国からの一部輸入品を対象から除外することを検討している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
トランプ大統領は25日に公開された米誌タイムとのインタビューで、貿易相手国との交渉は「3-4週間以内に終わると思う。それで終わりだ」と語った。ただ、中国との協議状況については矛盾した発言があった。中国は米国との交渉が進行中であることを否定している。
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パンムール・リベラムのストラテジスト、ヨアヒム・クレメント氏は「現在は関税の混乱期にある」と指摘。「見通しに根本的な変化がないため、市場は雑音に反応し、常に変化するトランプ大統領と閣僚の発言に翻弄(ほんろう)され続けている」と話した。
利益率が記録的な高水準近くで推移する中、米企業は高関税によるコスト上昇を吸収する余地がある。しかし、少なくとも一つの指標によると、S&P500種構成企業の過去20年間の業績実績は、追加の関税措置に耐える能力が脆弱(ぜいじゃく)であることを示唆している。
ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、2004年以降、企業売上高から生まれた利益率上昇の大部分は、急成長を遂げたテクノロジー部門に起因している。この部門を除くと、利益率はほとんど上昇していない。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのデービッド・レフコウィッツ氏は「関税による経済活動の減速に加え、コスト上昇が企業の利益成長を圧迫するだろう」と述べた。「しかし、企業と消費者が関税に順応するにつれ、来年には景気は回復するはずだ。利下げのほか、税制政策がはっきりしてくることも寄与するだろう」と続けた。
米国債
米国債相場は続伸。週間では2週連続で上昇し、今月に入ってからの下げをほぼ埋めた。トランプ政権が貿易摩擦の緩和に向けた取り組みを続けている兆候が背景にある。
国債 直近値 前営業日比(bp) 変化率 米30年債利回り 4.72% -6.0 -1.25% 米10年債利回り 4.25% -6.4 -1.49% 米2年債利回り 3.75% -4.5 -1.19% 米東部時間 16時48分国債はドルとともに上昇した。トランプ大統領が2日に関税措置を発表した後、ウォール街では「米国売り」が支配的だったが、そのセンチメントが弱まったためだ。政権は主要な貿易相手国に対する関税の施行を一時停止し、中国との貿易戦争の緩和を目指す可能性を示唆した。
BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者イアン・リンジェン氏は「貿易戦争の悪影響に対する懸念は、短期的にピークに達する可能性がある」とリポートで指摘した。「実体経済への波及は依然として続くが、トランプ氏が過激な要求の一部をさらに後退させれば、あや戻しの余地は残っている」と語った。
外為
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが主要通貨に対して反発。中国政府は米国に対する125%の報復関税を巡り、米国からの一部輸入品を対象から除外することを検討しているとの報道を受け、ドル買いが優勢になった。円は対ドルで下落し、一時は1ドル=144円03銭まで下げた。
為替 直近値 前営業日比 変化率 ブルームバーグ・ドル指数 1226.05 2.17 0.18% ドル/円 ¥143.78 ¥1.15 0.81% ユーロ/ドル $1.1359 -$0.0031 -0.27% 米東部時間 16時48分マネックスのストラテジストは「米中間の協議に関するさまざまな臆測や進展の可能性に関わらず、市場は現在、中国当局が米国からの一部輸入品に対する125%の関税の停止を検討しているとの報道を歓迎している」と指摘。「明確な進展はないものの、二大経済大国が少なくとも共通点を探り、市場全体にわたる損害を軽減しようとしている兆候を受けて、ここ数日間は安堵(あんど)感が広がっている」と続けた。
原油
原油先物相場は小幅ながら続伸。米中間の貿易協議を巡って相反する情報が続く中、日中は上げ下げを繰り返す方向感に乏しい取引となった。
原油相場は今月に入って大きく下落。トランプ関税とそれに対する報復関税が経済活動を阻害し、エネルギー需要を圧迫するとの懸念が背景にある。
こうした中、ライト・エネルギー長官はオクラホマシティーで開催されたエネルギー業界の会合に出席し、石油関連会社の不安解消に努めた。同氏は貿易摩擦は一時的なものであり、政府は原油生産の拡大を全面的に支持していると語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は前日比23セント(0.4%)高の1バレル=63.02ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント6月限は32セント高の66.87ドルで取引を終えた。
金
金相場は反落。今週は不安定な値動きとなり、スポット価格が史上初めて1オンス=3500ドルを上回る場面もあったが、その後はトランプ関税を巡る緊張緩和の兆しなどを背景に弱含んだ。
この日は一時2.5%下落。中国は125%の対米報復関税で一部品目を対象から除外することを検討していると、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。トランプ氏は25日に公開された米誌タイムとのインタビューで、関税引き下げをめぐる貿易相手国との協議は「3-4週間以内に終わると思う」と語った。
JPモルガン・プライベートバンクのストラテジスト、ユシュアン・タン氏は「報復関税で一部免除の可能性が報じられたことで市場心理が改善し、金価格は3300ドルを割り込んだ」と指摘。その上で、2022年以降の金相場では、下落してもすぐに買い戻される傾向が続いていると語った。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前営業日比57.17ドル(1.7%)安の1オンス=3292.26ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は50.20ドル(1.5%)安の3298.40ドルで引けた。
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原題:S&P 500 Notches Longest Winning Run Since January: Markets Wrap(抜粋)
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