米サウジの原子力協定 中東の核拡散を懸念する
中東での核拡散につながることにならないか。懸念が強まる。
トランプ米政権がサウジアラビアと原子力協定を締結したと発表した。民生用の原子力技術を提供する。
原発建設など事業規模は数十年で数十億ドル(数千億円)に上るという。米国の原子力産業の競争力強化も見込まれる。
サウジは石油や天然ガスへの過度な依存からの脱却を進める。エネルギー供給の多様化や脱炭素化を促すメリットがある。
Advertisement両国とも「核の平和利用」と主張するが、額面通りには受け取れない。将来的にサウジの核保有に道を開く恐れがあるからだ。
米メディアによると、同様の協定で米国が原則的に禁じてきたウラン濃縮や使用済み核燃料の再処理を容認する内容とされる。
2国間保障措置(査察)協定も締結したが、サウジは国際原子力機関(IAEA)による抜き打ち査察の実施は拒否するという。
2009年に締結したアラブ首長国連邦(UAE)はこれら厳格な不拡散措置を受け入れた。今回の協定は異例ずくめだ。
例外的な措置が認められれば、サウジがいつ極秘裏に核開発を始めたとしても不思議ではない。危険極まりない。
サウジは敵対関係にあるイランを警戒している。ウラン濃縮を進め核兵器を製造すれば、対抗措置として自身も製造を目指す考えを示している。
攻撃の応酬が続くイラン戦争で米国は孤立無援を強いられている。サウジを引き込む狙いもあるに違いない。
波紋は中東全体に広がる。サウジの核保有を警戒するイスラエルは反発する。核への野心を隠さないトルコも看過しないだろう。
トランプ大統領はサウジとイスラエルの国交正常化合意を条件とする考えを後になって示した。それだけでは緊張は緩和されまい。
協定について米議会は90日以内に承認するかどうかを判断する。重要なのは、核開発につながるプロセスを遮断することだ。
濃縮や再処理の活動を禁じ、国際法の枠組みで厳格な査察を受ける義務を課すことが欠かせない。それができなければ白紙に戻すべきだ。
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