トランプ氏が最高裁に上告へ、関税大半が違法との高裁判断に不服(Bloomberg)

(ブルームバーグ): トランプ米政権が世界各国・地域に対して発動した関税の多くを違法とする判断を連邦高裁が支持したことについて、トランプ大統領は2日、政権として連邦最高裁に上告する方針を明らかにした。貿易政策を堅持するために不可欠だと主張している。

トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、連邦高裁の判断がそのまま維持されれば「わが国にとって壊滅的なものになる」と述べ、最高裁に判断の見直しを求めて3日にも上告すると語った。

トランプ氏は「最高裁に行くことになるだろう。明日になると思う。早期の判断が求められるからだ」とした上で、「迅速な判断を求めるつもりだ」と述べた。

連邦高裁は8月29日、トランプ氏が多くの貿易相手国・地域からの輸入品に課した上乗せ関税や、合成麻薬フェンタニルの米国流入を理由にカナダとメキシコ、中国に賦課した関税について、国際緊急経済権限法(IEEPA)を不当に適用したと判断。大統領の権限を越えた違法行為とした、米国際貿易裁判所の5月の判断を支持した。

また連邦高裁は、関税差し止めが今回の訴訟を起こした当事者だけでなく、訴訟の当事者以外にも広く適用されるのかを下級審が再審理すべきだとの判断を示した。ただ訴訟の進行中は関税の効力がそのまま維持されるとした。

もし最高裁が最終的に上乗せ関税を無効と判断した場合でも、トランプ政権には限定的ながら合法的な関税導入手段が残されている。その一つとして、国家安全保障上の脅威とみなされる輸入品の規制を認める通商拡大法第232条に基づき、半導体や医薬品、風力タービンに関税を課す方法がある。

また、米国企業に差別的な国・地域の貿易措置や、国際貿易協定における米国の権利を侵害する行為に対抗するとして、通商法301条を根拠に米通商代表部(USTR)に関税賦課を指示することもできる。

原題:Trump to Ask Supreme Court for Expedited Ruling on Tariffs (1)(抜粋)

Lauren Dezenski, Hadriana Lowenkron

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