李在明氏、対面会談で石破首相は「かなり警戒心持っていた」…その必要ないと「何としても見せたかった」
【ソウル=依田和彩】韓国の 李在明(イジェミョン) 大統領は3日の記者会見で、「実用外交」の実現に向けて「日本重視」の考えをアピールし、過去の対日強硬発言を巡る日本側の懸念 払拭(ふっしょく) を狙った。トランプ米政権下で米韓同盟の不確実性が増していることも、こうした融和姿勢につながっているとみられる。
3日、ソウルで、就任1か月に合わせ記者会見に臨む李在明大統領=AFP時事「かなり警戒心を持っていたのではないか。その必要が全くないということを、何としても見せたかった」。李氏は記者会見で、6月に行われた石破首相との初めての対面会談を振り返り、こう強調した。
李氏は野党時代に、日韓関係の改善を進めた 尹錫悦(ユンソンニョル) 前政権の政策を「対日屈辱外交」と批判するなど、日本に対して批判的な発言を繰り返してきた。これまで提唱してきた「実用外交」を推進する上で日韓関係の強化を一つの柱と捉えており、「反日」のイメージを取り除く必要があると考えている模様だ。
他方で、関税措置や在韓米軍を巡る問題など、トランプ政権下で米韓同盟の先行きが不透明となっていることも、日本との連携強化の動きを後押ししている。
李氏は記者会見で、米国との関税交渉について「簡単でないことは確かだ。最善を尽くしている」と述べるにとどめた。在韓米軍を巡っては、米側が人員削減を検討しているなどと報じられている。李政権としては、同じく米国の同盟国である日本と協力することで、局面を打開したい思惑もありそうだ。
李氏は就任から2日後にトランプ大統領と電話会談したものの、対面での会談はまだ実現していない。
今月初旬にはルビオ米国務長官が訪韓する方向で調整が進められていたが、韓国大統領府は3日、ルビオ氏の訪韓が「米国の事情から難しくなった」と明らかにした。ルビオ氏とは、李氏の訪米日程などを協議する算段だったといい、大統領府は改めて李氏の早期訪米に向けた調整を続ける。
一方、李氏は記者会見で米韓同盟、日米韓協力の重要性を訴えるとともに、中国、ロシアとの関係改善を進める姿勢も改めて示した。
李氏は6月にカナダでの先進7か国首脳会議(G7サミット)に出席したのに続き、オランダで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にも参加する方向で調整していたが、直前になって取りやめた。韓国大統領府は「中東情勢による不確実性などを総合的に考慮した」と説明したが、中露に配慮した上での欠席とも指摘されている。
李氏は記者会見で「政治と外交において感情は排除しなければならない。徹底的に理性的に、合理的に、論理的に対応すべきだ」とも語ったが、「実用外交」の実態はまだ見えないままだ。