リヤウイングをつけましょう! 雨のSF富士で“いっぱいいっぱい”だったセーフティカーのアップデートを坪井翔が提言

 悪天候に見舞われたスーパーフォーミュラ第9戦富士は、スタートからセーフティカーランのまま14周を走ったところで2度目の赤旗中断となり、そのまま終了した。ファンにとってもドライバーにとっても、不完全燃焼のレースであった。

 ある意味今回の主役は、“ハロウィン仕様”のカラーリングに仕立て上げられたセーフティカーであった。SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGの大湯都史樹も、2度目の赤旗が宣言された時、レースの終了を悟ってか「(今回は)ハロウィンセーフティカーのパレードランですね」と総括していた。

写真: Masahide Kamio

 そのセーフティカーを巡っては、ドライバーからそのスピードについてコンプレインもあがっていた。ドライバーとしてはレース再開に備えてタイヤを適切な温度まで温めたいため、ある程度のスピードを出したいのだ。

 TEAM MUGENの野尻智紀はレース中、「セーフティカーが直線だけ飛ばそうとして車間(距離)があいて、みんなスピード上げるんだけど、結局セーフティカーのスピードが落ちるところがある。コーナーもう少し速く走れないのかな」と無線で訴えていたが、チームからは「コーナーがいっぱいいっぱいで減速せざるを得ないらしい」との返答があった。実際、今回のレースでセーフティカーの走りを最も間近で見ていたポールポジションのサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TEAM TOM’S)は記者会見の中で、「120km/hくらいで走っているセーフティカーがかなりスライドしているのが見えた」と語っていた。

 2位に入った坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)も、セーフティカーにはもう少しスピードを上げて欲しかったと語るひとり。ただリスクのあるコンディションでセーフティカードライバーに無理を強いることは避けるべきであるため、車両にリヤウイングを装着するなどして性能を上げるべきだと語った。

「個人的にはセーフティカーの車のパフォーマンスをもう少し上げた方がいいかなと思います。ウイングがついてなくて、120km/hで横滑りしているようだと……」

「正直あのスピードだと僕たちはタイヤを温められません。もう少し速くして欲しいと言ったら、もうリミットだという話だったので、であれば車とタイヤのパフォーマンスを上げるしかないかなと」

「セーフティカーのドライバーもリスクを負って危ない運転をするのは可哀想です。車のパフォーマンスを上げる方が簡単な話だと思います。ウイングをつけてあげたりとか……F1のセーフティカーもウイングがついていたり、パフォーマンスの高い車で走っていますよね。その辺り、ウエットで走ったことで今後の課題が浮き彫りになったと思います」

写真: Masahide Kamio

 ちなみにセーフティカーの車種はトヨタ・GRスープラ。フェネストラズ、坪井と共に会見場に同席した野尻は、ホンダドライバーという立場もあってか「たぶん、車はいいと思いますが(笑)」と話しつつ、タイヤを変更するなどしてセーフティカーのコーナリングスピードを上げる方向とした方が、スーパーフォーミュラのマシンが安全にレースができるようになるだろうと述べた。

 さらに野尻はこう続ける。

「これじゃあ本当に、どの雨(量)のレースもできなくなってしまうので、この雨の中でもレースができる方法、解決策を探していきたいですね」

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