米NY市長選、トランプ氏がクオモ氏支持を表明 民主党候補が勝てば補助金削減と脅す

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画像説明, NY市長選の民主党候補ゾーラン・マムダニ氏と、ドナルド・トランプ米大統領

4日に予定されているアメリカ・ニューヨーク市長選をめぐり、ドナルド・トランプ大統領は3日、アンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事(無所属)を支持すると表明した。そのうえでトランプ氏は、優勢の左派候補ゾーラン・マムダニ氏(民主党)を選ばないよう有権者に呼びかけた。

「アンドリュー・クオモのことが個人的に好きかどうかに関わらず、ほかに選択肢はない。彼に投票しなければならない。彼が素晴らしい仕事をしてくれることを願うべきだ」と、トランプ氏は3日夕、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に投稿した。「(クオモ氏には)できる。マムダニはできない!」。

クオモ氏は6月に行われた民主党の予備選挙で、左派のマムダニ州議会議員に敗れ、無所属で出馬している。

トランプ氏に熱心とは言えない形で支持されたクオモ氏は、「彼は私を支持しているんじゃない。マムダニに反対しているんだ」と述べた。

ニューヨーク出身のトランプ氏はニューヨーク市への連邦政府の補助金について、マムダニ氏が当選した場合、「義務付けられた最低限を除いて、連邦資金を投入する可能性は非常に低い」とも書いた。

トランプ政権はこれまでにも、民主党主導の地域を主な対象とするプロジェクトへの連邦補助金や資金援助の削減を試みてきた。ニューヨーク市には今年度、74億ドル(約1兆1400億円)の連邦資金が拠出されている。

トランプ氏は2日放送のCBS番組「60ミニッツ」でも、マムダニ氏が当選した場合は、ニューヨーク市への連邦補助金は最低限のものに削減すると述べていた。

トランプ氏は番組で、マムダニ氏を「共産主義者」と誤って呼び、「大統領として、ニューヨークに多額の資金を投入するのは難しくなるだろう。共産主義者がニューヨークを運営するなら、送った金がすべて無駄になる」と発言した。BBCはアメリカでCBSと提携している。

トランプ氏による補助金削減の脅しについて、マムダニ氏は3日、「脅しは脅しとして受け止めて、対応する。これは脅しであって、法律ではない」と述べた。

マムダニ氏はさらに、「MAGA(「アメリカを再び偉大にしよう」)運動がアンドリュー・クオモを支持することにしたのは、(クオモ氏)こそ自分にとってベストな市長だとドナルド・トランプが理解している、そのことを反映している」と指摘した。

「ニューヨーク市にとってベストな市長でも、ニューヨーク市民にとってベストな市長でもない。そうではなく、ドナルド・トランプと彼の政権にとって、ベストな市長になるだろうという考えだ」と、マムダニ氏は批判した。

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複数の世論調査では、民主党候補のマムダニ氏が、民主党の予備選で敗れて無所属で出馬しているクオモ氏をリードしていることが示されている。共和党候補のカーティス・スリワ氏は2人に後れを取っている。

共和党を率いるトランプ氏は、スリワ氏への支持は表明せず、「カーティス・スリワに投票することは(中略)マムダニに投票するのと同じだ」と投稿した。

幅広い話題に触れたCBS番組「60ミニッツ」のインタビューで、トランプ氏は、「マムダニ市長」が誕生すれば、左派のビル・デブラシオ前市長が「素晴らしく見える」ようになるだろうと述べた。

「私は、デブラシオがどれほどひどい市長だったかを見てきたが、この男(マムダニ氏)はそれをはるかに超えるひどい仕事をするだろう」と、トランプ氏は述べた。

トランプ氏はニューヨークのクイーンズ区で育ち、現在も市内に不動産を所有している。

「いずれにせよ私はクオモのファンではないが、悪い民主党員と共産主義者のどちらかを選ぶなら、正直言って、いつだって悪い民主党員の方を選ぶ」と、トランプ氏はCBSに語った。

ニューヨーク市長は、世界的な金融拠点でもある大都市の運営を担う。

マムダニ氏は民主社会主義者を自称し、共産主義者だとの非難を一蹴している。あるテレビインタビューでは、自分は「スカンジナヴィア諸国の政治家みたいなもの」で、ただ肌の色が彼らより黒いだけだと冗談交じりに語っている。

マムダニ氏は6月の民主党の予備選挙で勝利し、クオモ氏は2番手だった。34歳のニューヨーク州議会議員であるマムダニ氏は、クオモ元州知事を「トランプ氏の言葉を繰り返す操り人形」と呼んでいる。

「(ニューヨークの)市庁舎に(トランプ政権の)鏡像はつくらない。これが、ドナルド・トランプ政権への答えだ」と、マムダニ氏は3日に述べた。

「ニューヨーカーが自分たちの街に強く求めているもの、そして日々、自分自身や隣人の中に見出しているもの、つまりここを故郷とするすべての人の尊厳を信じる都市に応えるような代替案を生み出す」

一方でクオモ氏は、トランプ政権に対抗できる唯一の経験豊富な候補だとアピールすることで、こうした攻撃をかわそうとしている。

クオモ氏はニューヨーク州知事として、新型コロナウイルスのパンデミックに対応した。当時、多くの州がトランプ政権と対立していた。ニューヨーク州の調査ではその後、介護施設での死者数が大幅に過少評価されていたことが明らかになり、クオモ氏には厳しい目が向けられた。

「私はドナルド・トランプと戦った」と、クオモ氏は先月の討論会で語った。「私は、ニューヨークのために戦う間は立ち止まらない」。

こうした中、トランプ氏は犯罪対策の一環として、民主党主導の都市に州兵を派遣し、連邦移民当局との協力を制限する司法管轄区への資金を削減しようとしている。

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