睡眠時無呼吸症候群の治療に既存の抗てんかん薬が役立つことが臨床試験で示される

サイエンス

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気であり、血液中の酸素不足や睡眠の質の悪化によって日中の眠気や倦怠(けんたい)感、内臓の合併症などを引き起こします。そんな睡眠時無呼吸症候群の治療に、既存の抗てんかん薬であるオスポロット(スルチアム)が役立つ可能性があると、約300人の睡眠時無呼吸症候群患者を対象にした臨床試験で示されました。

Sultiame once per day in obstructive sleep apnoea (FLOW): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, dose-finding, phase 2 trial - The Lancet

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(25)01196-1/

First drug treatment for sleep apnea within reach | University of Gothenburg https://www.gu.se/en/news/first-drug-treatment-for-sleep-apnea-within-reach

Repurposed Drug Improves Sleep Apnea by Up to 50% in Clinical Trial : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/repurposed-drug-improves-sleep-apnea-by-up-to-50-in-clinical-trial

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に上気道が閉塞(へいそく)し、呼吸が阻害されることで生じる病気で、世界全体で10億人以上の患者がいると推定されています。認知機能の低下や心血管疾患、糖尿病といったさまざまな健康問題とも関連しており、幅広い人々が利用可能な治療法が必要とされています。

主な睡眠時無呼吸症候群の治療法としては、睡眠時にマスクを装着して圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込み、狭くなった気道を広げて呼吸を確保する「CPAP」があります。しかし、CPAPの装着には慣れが必要であり、患者の半数近くが1年以内にCPAPの使用を中止してしまうとのこと。

そこで近年では、薬剤による睡眠時無呼吸症候群の治療が模索されています。2024年には2型糖尿病や肥満の治療薬として知られるチルゼパチドが、睡眠時無呼吸症候群の治療薬として承認されました。しかし、チルゼパチドの効果は体重減少によって気道が広がり、閉塞しにくくなることで生じるものです。

一方、これまでの研究では抗てんかん薬であるスルチアムが、上気道の筋肉の緊張を改善し、呼吸制御を安定させる可能性があることが示されています。すでにスルチアムはヨーロッパのいくつかの国やイスラエル、日本、オーストラリアなどでてんかんの発作を抑える薬として使用されています。

スウェーデンのヨーテボリ大学の研究チームは、これらの研究結果を基に中度~重度の睡眠時無呼吸症候群を患う298人の被験者を対象に、第II相臨床試験を実施しました。被験者は「毎日100mg/200mg/300mgのスルチアムを服用するグループ」あるいは「毎日偽薬を服用するグループ」にランダムで割り当てられ、15週間にわたり薬の服用を続けました。

臨床試験の結果、就寝1時間前にスルチアムを服用した患者は偽薬を服用した患者と比較して、睡眠時の呼吸障害が少なく夜間の酸素供給も改善され、日中の過度の眠気も減少することが確認されました。

最も効果があったのはスルチアムを200mgまたは300mgの高用量で服用した患者で、睡眠時無呼吸症候群の重症度が約30~50%も減少し、偽薬をはるかに上回る効果を示したと報告されています。なお、臨床的に重要な安全性の懸念はなかったものの、副作用は用量が増えるにつれて強くなるため、200mgが最適な服用量だと考えられています。 研究で主導的な役割を果たしたヨーテボリ大学の呼吸器内科上級教授であるヤン・ヘドナー氏は、「私たちは長年にわたりこの治療戦略に取り組んでおり、今回の結果は睡眠時無呼吸症候群が薬理学的な影響を受けることを示しています。これはブレイクスルーであると感じており、今後はより大規模かつ長期的な研究を実施し、効果が長期間にわたって持続するのかどうか、そして幅広い患者グループにとって安全なのかどうかを判定したいと思います」と述べました。

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