【日本株週間展望】不安定な値動き、通商交渉期待と過熱感の綱引き

5月2週(12ー16日)の日本株は不安定な展開となる見込み。米国と中国や日本などとの貿易交渉への期待感が継続する半面、株価の短期的な戻りが急であることから戻り売りも出やすい。

  焦点は米景気と貿易交渉の行方。トランプ米大統領は8日、英国との貿易枠組み合意発表に当たり、中国との貿易交渉について目に見える進展が得られるとの見通しを示した。中国との交渉に進展が確認できれば、株価はいったん上値を試す可能性がある。

  米国では13日に4月の消費者物価指数(CPI)、15日に小売売上高や生産者物価指数(PPI)が発表される。ブルームバーグが集計したエコノミスト予想でCPIは前年同月比2.4%上昇(前月は同2.4%上昇)、小売売上高は前月比横ばいが見込まれている。インフレの抑制と消費の底堅さが示されれば、株価下支え要因となりそうだ。

  1週のTOPIXは週間で1.7%高と4週続伸した。米追加関税による景気や業績への過度な懸念が和らぐ中で一本調子の戻りとなっており、日米貿易交渉が決着する前段階で一時的に様子見や戻り売りが優勢になる場面もありそう。

  企業決算では12日にスズキ三菱地所、13日にソフトバンクグループホンダフジクラ、14日はソニーグループ三井住友フィナンシャルグループKDDI、15日は三菱UFJフィナンシャル・グループみずほフィナンシャルグループエーザイが予定。海外では14日に台湾の鴻海精密工業が公表予定だ。  

  このほか、海外では13日からトランプ大統領がサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールを訪問する。国内では13日に日本銀行が4月30日・5月1日に開催した金融政策決定会合での主な意見を公表する。

《市場関係者の見方》

三井住友トラスト・アセットマネジメントの上野裕之チーフストラテジスト

  株価が下げた分を急速に取り戻してきたことから、経験則的には戻り一服で様子見が広がりやすい。もっとも、米中の通商交渉で仮に大幅な関税引き下げとなれば経済への影響は大きく、もう一段株価が上昇するだろう。企業決算も総じて警戒していたほどネガティブではないことも評価できる。

SBI証券の鈴木英之投資情報部長

  米関税問題は基本的には緩和の方に行く可能性をみるが、若干戻し方が早すぎる。関税問題がなかったかのようなところまで織り込んでいる感じはする。日経平均株価は特に3万8000円から4万円のボックス圏が長かったため、3万8000円が近づいてくると徐々に戻り売りはきつくなるかもしれない。

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