ノートパソコンの価格は、もう元には戻らない

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Kyle Barr - GIZMODO US[原文]岩田リョウコ / GIZMODOライター )
© Raymond Wong / Gizmodo

これからは簡単に買い替えなんてできない。

Appleが一部製品の値上げを発表しました。もうMacBook Proは30万超えが当たり前の時代になってしまいました。そして他のノートパソコンメーカーも同じように値上げを言及しています。ノートパソコンの価格が2025年より前の水準に戻ることは、もう期待できなそうです。

メモリがとにかく高騰中

急騰するRAMの価格のせいで、ハイエンドどころか、そこそこの性能のノートパソコンですら価格が上がってきています。ドイツのテック系ブログComputerBaseによると、時価総額ベースで最大級のPCメーカーLenovoは、この状況が4年後でも改善しないと見込んでいるそうです。

Lenovoは、ISC2026というテックカンファレンスで、DRAMとNANDの価格が今後何年も改善はせず、さらに悪いことに、2030年以降に定着する価格水準でも、2025年10月以前の水準と比べればまだ高いままだと警告したとのこと。Lenovoがこのように警告する理由は、メモリ大手3社の強気な価格設定にあるのかもしれません。

世界のメモリ供給を握るMicron、Samsung、SK Hynixの大手半導体3社は、AIデータセンター向けに必要とされる特殊な広帯域メモリの契約をこなすために事業を組み替え、その分、消費者向けのDRAMを後回しにしてきました。メモリの需要があまりに高いため、3社は価格を今後何年も膨らませ続けるための新しい手をどんどん打ち出しています

顧客を縛るMicronの新たな契約

先日Micronは、取引先に高値での調達を長期に求める新たな仕組みを見つけたと発表しました。MicronのCEO兼会長であるSanjay Mehrotra氏は、この「戦略的顧客契約(SCA)」を、「テイク・オア・ペイ契約であり、複数年の期間に渡って特定の数量を購入するという拘束力のあるコミットメントを伴うもの」と説明しています。

Micronによると、データセンター、消費者、自動車の各分野で、4社の非常に大きな顧客と3社の中規模の顧客と、この戦略的顧客契約を16件結んだとのことです。

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「2028年に業界全体の供給が徐々に改善すると見込んでいますが、現時点ではメモリの供給が増え続ける需要に追いつける時期の見通しは立っていません」とMehrotra氏は声明で述べています。Micronはこの四半期に415億ドル(約6兆7000億円)の売上を計上したと報告していて、これは前年同期からなんと346%の増加となっています。

この戦略的顧客契約は、契約に署名した日から2030年の年末まで続くものとされています。要するにMicronは、どの顧客がどのメモリを手に入れ、いくら払わなければならないかを自分たちが決められるというわけです。Mehrotra氏は、こうした契約から会社全体の売上の約半分かそれ以上を見込んでいると述べています。

作り手も困惑、下がらないメモリ価格

もちろん、製品を作る側はメモリメーカーのやり方に満足しているわけではありません。ユーザーたちがずっと待ち望んでいたValveのSteam Machineは、ゲーム機のような形でゲーミング PC をリビングに置けるようにすることを狙った製品ですが、基本モデルで1,050ドル(約16万3,000円)もします。この価格についてValveのソフトウェアエンジニアPierre-Loup Griffais氏はGamer's Nexusに「(RAM メーカーは)こちらに価格を提示して……『これだけ買えるよ』と言ってくる。こちらの選択肢はYESかNOだけ。もしNOと言えば、二度と取り合ってくれない」と語っています。この価格設定はValveもしょうがなかった、ということですね。

Appleの退任を控えるティム・クック氏は、The Wall Street Journalのインタビューで「メモリ業界の連中は、とんでもない値上げを押し付けてきている。消費者向け製品のために、メモリの価格と供給がまともな水準に戻ってくれないと、私たちとしては本当に困る」と語っています。

RAMのコストを交渉する余地すらないため、ノートパソコンメーカーは高くなっていくメモリ価格をそのまま飲むか、その分を消費者に負担してもらうしかありません。メモリメーカーが顧客に対して、2028 年かそれ以降まで価格は下がらないと思っておいてほしいと言い続けているのも、こうした事情があるからです。

しかも2028年でも、ガジェットの価格が実際に下がることは見込めません。Appleは別のところからメモリを調達する方法を見つけてくるかもしれませんが、たとえ4年後に価格をある程度引き下げたとしても、2025年以前の水準に戻ることはまずない、と見て間違いなさそうです。

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