A代表初招集経て町田凱旋も…清水21歳MF宇野禅斗「まだ呼ばれただけ。何をするかが一番重要」敵将・黒田監督からもエール

[7.5 J1第23節 町田 3-0 清水 Gスタ]

 後半途中まではスタジアムが厳しい蒸し暑さに包まれ、終盤には激しい雨も降り始めるという難しい環境下で90分間奮闘したが、望んだ結果には結びつかなかった。清水エスパルスMF宇野禅斗は0-3に終わった古巣の町田戦を「完敗」ときっぱり。「最後の最後までゴールに襲いかかるところをもっと表現しないといけなかったし、90分出たからには90分出たなりの結果を出さないといけなかった」と悔やんだ。

 EAFF E-1選手権に臨む日本代表に21歳で初招集され、大きな注目を集めたなかでの一戦。宇野は昨季前半戦まで2年半過ごした町田サポーターからも拍手で迎えられ、「選手として嬉しいことだし、本当に感謝したい」という感慨のなか、この試合にかける気迫は随所に伝わってきた。

 前半6分には豪快なボール奪取から素早く縦に持ち出し、ゴール左をかすめる左足ミドルシュートでスタジアムを大きくどよめかせると、それ以降は主に中盤の幅広いスペースを埋める対人守備で奮闘。攻撃でも中盤でボールをさばくだけでなく、積極的にペナルティエリア内に走り込んでいくことでフィニッシュへの参加も試みていた。  しかし、チームとして繰り出した数的優位の攻撃がことごとく判断ミスによって不発に終わり、結果は0-3という厳しいものとなった。

 試合後、清水の秋葉忠宏監督は宇野について「A代表にふさわしい、攻守に大車輪の働きを見せてくれた。彼のメンタリティーが最後の最後までチームを動かして、A代表に選ばれる選手はこういう選手なんだなというふうに思わせてくれた」と高い評価を送ったが、宇野自身の自己評価は控えめだった。

「少なからず自分の特徴を表現することはできていたかなと思うけど、勝利につながらなかったので見直さないといけないし、反省点を持ってやっていかないといけない」。これで5試合勝ちなし。降格圏との勝ち点差は「8」離れているものの、結果への責任感は日々増すばかりだ。  それでも、この結果に下を向いてばかりはいられない。  フル出場から一夜明けた6日朝にはE-1選手権のため韓国に渡り、初招集された日本代表に合流。まずは8日の初戦・香港戦に向けた活動が始まる。青森山田高時代はチームとして3冠という結果を残しながらもコロナ禍の影響もあって世代別代表からは縁遠く、プロ入り後も2022年のモーリスレベロトーナメントに臨むU-19日本代表に一度選ばれたのみという立場だったが、国内組編成のA代表で大きなチャンスを掴んだ。  そのキャリアパスも昨季の後半戦、当時J2だった清水への期限付き移籍という決断があってこそだ。J1に導いた今季は完全移籍で正式所属し、23試合中22試合に先発出場。宇野は「まずは試合に出られているからこそ目に留まったところがあると思うし、エスパルスに来てコンスタントに試合に出させてもらっていることが大きい」と清水への感謝を口にしつつ、「でもまだまだ呼ばれただけ。そこで何をするかが一番重要だと自分は思っているので、まずは合流してそこから」と飛躍を誓った。

 この日の試合後には青森山田高時代の恩師で、町田でも師弟関係にあった黒田剛監督とのに激励の声をかけられ、「頑張ってこいよと声をかけていただいたので頑張りたい」と気を引き締めた宇野。初のA代表の舞台にも「未知の世界で、初めてお会いする選手・スタッフの方々ばかりなので、まずは飛び込んで自分らしくトレーニングからやっていければ」と臆せず挑む構えだ。

(取材・文 竹内達也)●2025シーズンJリーグ特集●E-1選手権2025特集▶お笑いコンビ・ヤーレンズのサッカー番組がスタート!

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