米雇用拡大ペース、緩やかに減速か-1月利下げ休止観測裏付ける公算

Augusta Saraiva

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  • 12月の非農業部門雇用者数は16万5000人増と拡大ペースが鈍る見通し
  • 「漸進的減速が止まれば利下げサイクル終了があり得る」との指摘も
Photographer: Allison Joyce/Bloomberg

昨年12月の米国の非農業部門雇用者数は堅実な伸びを示し、失業率も前月から横ばいの4.2%となる可能性が高い。労働市場がより著しく減速するとの見通しが昨年も裏切られた格好となりそうだ。

  ブルームバーグが調査したエコノミストの予想中央値によれば、12月の非農業部門雇用者数は前月比16万5000人増となり、11月の22万7000人増から雇用拡大ペースが鈍ると見込まれる。労働市場の漸進的な減速が続くシナリオを後押しする数字だ。

Economists see US adding 165,000 jobs in December to cap resilient year

Source: US Bureau of Labor Statistics, Bloomberg survey of economists

  米連邦準備制度は、労働市場の急速な悪化を避けるため昨年9月以降合計1ポイントの利下げを決め、その後インフレ警戒に再び力点を移した。労働統計局(BLS)の10日の発表が予想通りなら、当局の意向の正当性が裏付けられるだろう。

  パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、雇用市場の堅調が続く限り、追加利下げに慎重になることができると示唆した。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)のエコノミスト、シュルティ・ミシュラ氏らは「(連邦準備制度にとって)1月の利下げ休止は明らかに基本シナリオだ。労働市場の漸進的な減速が止まれば、利下げサイクルが終了するリスクも想定される」と6日のリポートで指摘した。

  非農業部門雇用者数の伸びは、10万人から26万8000人まで予測に幅があるが、予想中央値に沿う数字なら、2024年の米経済は210万人の雇用を創出したことになる。23年の300万人は下回るが、19年の200万人を上回るペースだ。

Forecaster Estimate Citigroup 120,000 Goldman Sachs 125,000 JPMorgan 150,000 Bank of America 175,000 Scotiabank 205,000 Bloomberg Economics 268,000

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ米国エコノミスト、 アナ・ウォン氏らは「12月の雇用者数は堅調な数字になりそうだ。労働市場の改善を示す明るい兆しと認識している。それでも労働市場が再びヒートアップしつつあると自信を持って判断することはなかろう」と9日のブレビューで分析した。

  エコノミストらは、米失業率の3カ月移動平均が過去1年の最低水準を0.5ポイント上回ると、リセッション(景気後退)を示唆するという「サーム・ルール」を念頭に失業率の推移を注視している。        

  シティグループのエコノミスト、ベロニカ・クラーク氏らは「失業率が今後数カ月で4.5%を上回れば、今年の米利下げの著しい再評価につながる」と見解を示した。

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原題:US Payrolls Growth Forecast of 165,000 Seen Enabling Fed Pause(抜粋)

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